風力発電機の主軸に耐摩耗性を向上した軸受け、長期の稼働停止防ぐ:FAニュース(2/2 ページ)
日本精工は風力発電機の主軸用自動調心ころ軸受けを開発し販売を開始した。標準品に対して軌道面の摩耗量を10分の1以下に低減するなど耐摩耗性の向上により、風力発電機のメンテナンス頻度の低減や安定稼働に貢献する。
そこで、NSKは軌道面の耐摩耗性の向上に向けて、長寿命材料「Super-TF」や高硬度なDLC被膜など実績のある技術を採用するとともに、高負荷容量化を実現するECAタイプの新形式保持器を開発した。
Super-TFは材料の微細炭化物を従来の処理法よりも均一に分散させることで表面強度を向上させた。クロムやモリブデンを適量添加し、浸炭熱処理によって微細炭化物を強制析出させている。これを主軸用自動調心ころ軸受の外輪と内輪に採用することで耐摩耗性を高めている。
DLC被膜はダイヤモンドと黒鉛の結合構造を併せ持つ炭素を主成分とする物質から作られた被膜だ。ころの表面性状劣化防止に使用することで、接触する軸受の軌道面の耐摩耗性を向上させた。
新形式保持器は、案内輪を廃止したことで、ころの長さアップと、ころ数の増加を実現。内部設計の最適化によって高負荷容量を実現した。動定格荷重は標準品の1万3400kNから1万4800kNに、静定格荷重も標準品の2万6200kNから2万9600kNに引き上げた。
標準品と開発品の軌道面の摩耗をNSK社内で比較したところ、軌道面の摩耗深さは標準品が16μmなのに対し、開発品は1μmで10分の1以下に摩耗を抑制できることが分かった。
NSKは風力発電機向けの状態監視ソリューションも併せて提案し、風力発電機のアフターマーケットにも注力する。NSKは2026年度までの中期経営計画で、風力発電機向けなどが含まれる産業機械事業においてアフターマーケットビジネスの売上高を2021年度比で250億円増に拡大することを目指している。
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