風力発電機の主軸に耐摩耗性を向上した軸受け、長期の稼働停止防ぐ:FAニュース(1/2 ページ)
日本精工は風力発電機の主軸用自動調心ころ軸受けを開発し販売を開始した。標準品に対して軌道面の摩耗量を10分の1以下に低減するなど耐摩耗性の向上により、風力発電機のメンテナンス頻度の低減や安定稼働に貢献する。
日本精工(NSK)は2024年12月16日、風力発電機の主軸用自動調心ころ軸受を開発し販売を開始したと発表した。標準品に対して軌道面の摩耗量を10分の1以下に低減するなど耐摩耗性の向上により、風力発電機のメンテナンス頻度の低減や安定稼働に貢献するとしている。すでに、北米で設置される風力発電機への採用が決定している。
風力発電機は、風を受けて主軸を回転させるブレード、風力による回転を増速機に伝達する主軸、発電に必要な回転速度まで主軸の回転を増速する増速機、増速された回転を電気エネルギーに変換する発電機で構成されている。
風力発電機の部品が故障すると、修理コストが高額になり、停止から再稼働まで長期のダウンタイムも発生する。風力発電機が山上や洋上に設置されるため、高さ100mでの作業に対応した大型クレーンなど交換用設備の調達や、交換作業に時間がかかるのが要因だ。また、大型部品は在庫を持たないケースが多く、受注生産で調達リードタイムが長くなる。主軸や軸受の故障頻度は低いものの、損傷が発生するとダウンタイムは平均で1年近くになる。そのため、風力発電機の主軸用軸受には想定よりも早い損傷を防ぐ高信頼性が求められる。
風力発電機の主軸用軸受には一般的に自動調心ころ軸受が使用される。ブレードの重量や風による変動荷重を支えるに当たって高負荷容量で調心性が高いためだ。ただ、自動調心ころ軸受は、想定を上回る高負荷時に外輪と内輪の油膜形成の不足によって軸受軌道面が摩耗し、予想より早く損傷する場合がある。
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