Qtの最新版「Qt 6.8」がリリース、長期サポートの期間を3年から5年に延長:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
Qt GroupがUI開発フレームワーク「Qt」の最新バージョン「Qt 6.8」を発表。今回のバージョンアップのハイライトについて、来日した同社 製品担当シニアバイスプレジデントのユハペッカ・ニエミ氏に聞いた。
RISC-VやArm版Windows、XRヘッドセットなどにも対応
Qt 6.8ではこの他にもさまざまな機能が追加されている。組み込み機器関連では、RISC-Vプロセッサへの対応が挙げられるだろう。中国StarFive TechnologyのRISC-Vプロセッサを搭載するシングルボードコンピュータ「VisionFive 2」が対応プラットフォームに加わった。この他、Arm系プロセッサでは「Raspberry Pi 5」「NVIDIA AGX Orin」などが追加されている。
PCアプリケーション関連では、Arm版Windowsへの完全対応を実現した。PCのAI機能の拡充が差異化ポイントとなる中でArm版Windowsは徐々に存在感を増しているが、今回のQt 6.8での完全対応はArm版Windows向けのアプリケーション開発を加速させる可能性がある。
「Apple Vision Pro」の登場もあり、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といったXRヘッドセットの市場拡大に期待が集まっている。Qt 6.8では、これらXRヘッドセットに対応するため新たに「Qt Quick 3D XRモジュール」を導入した。XRヘッドセットのUI開発に活用できるだけでなく、既存のUI開発に用いている「Qt Quick 3D」で構築した環境とシームレスに連携できる仕組みを用意している。
QtのUI開発では、統合開発環境である「Qt Creator」を用いてコーディングを行うのが一般的だ。近年、AI(人工知能)でコーディングを効率化する機能の提供が進んでおり、Qtでも開発を進めている。コード補完などを行うAIアシスタント機能、コーディング内容の説明やアドバイスを行う機能、生成AIを用いてテストケースを自動生成する機能などがテクノロジープレビューになっており、AIアシスタント機能は2025年第1四半期に正式リリースされる予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 多画面化が進む自動車コックピット、Qt GroupがHMI開発の効率化を提案
Qt Groupは、「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」において、大型ディスプレイの採用が進む自動車コックピットの各画面を同社のUI開発プラットフォーム「Qt」で開発/管理できることを紹介した。 - Qtとクアルコムが協業、IoTデバイス向けGUI開発とソフトウェア品質保証を効率化
Qt Groupは、Qualcomm Technologies(クアルコム)と協業し、産業用IoTデバイス向けのGUIの開発とソフトウェア品質保証を効率化する。ソフトウェアベンダーは、UIソリューションの開発とテスト作業の効率化が可能となる。 - Qtが静的解析とアーキテクチャ解析をスイートで提供、ソフトウェアテストを強化
Qt Groupは、「第27回 組込み/エッジ コンピューティング展(ESEC)【春】」において、静的解析/アーキテクチャ検証ツール「Axivion Suite」を紹介した。 - インフィニオンのMCU向けに効率的で高性能のグラフィックスフレームワークを提供
Qt Groupは、Infineon TechnologiesのMCU向けに効率的で高性能なグラフィックスフレームワークを提供する。これによりInfineon TechnologiesのMCUは、メモリ使用効率が最大5倍、起動速度が2倍に向上する。 - 自動GUIテストもカバーするQt、買収したfroglogicの「Squish」を披露
The Qt Companyは、「第6回スマート工場EXPO」において、自動GUIテストツールの「Squish」を披露した。 - 「Qt」がメジャーバージョンアップ、「Qt 6.0」を発表
The Qt Companyは、ソフトウェア開発プラットフォーム「Qt」のメジャーバージョン「Qt 6.0」を発表した。将来の統一基盤となるよう、生産性を向上するツールやAPIの搭載、プログラミング言語の改善など、再構築がなされている。