Qtが静的解析とアーキテクチャ解析をスイートで提供、ソフトウェアテストを強化:ESEC
Qt Groupは、「第27回 組込み/エッジ コンピューティング展(ESEC)【春】」において、静的解析/アーキテクチャ検証ツール「Axivion Suite」を紹介した。
Qt Groupは、「第33回 Japan IT Week【春】」(2024年4月24〜26日、東京ビッグサイト)内の「第27回 組込み/エッジ コンピューティング展(ESEC)【春】」において、静的解析/アーキテクチャ検証ツール「Axivion Suite」を紹介した。
Axivion Suiteは2022年8月に同社が買収したAxivionが展開するソースコードの品質改善に役立つツールである。C、C++、C#の各言語によってプログラミングしたソースコードに対して、MISRAやAUTOSARなどが定めるコーディング規約への違反や、ソースコードの複雑性を示すメトリクスの違反、ソースコード内に記述はあるものの実行されないデッドコード、ソフトウェアコンポーネントの依存関係が循環にある循環依存、ソースコード内に同一もしくは似通ったコードが存在するデッドコードなどを検出する一般的な静的解析の機能を備えている。これらの他、ランタイムエラーやメモリ解放など、ソースコードのビルド機能が必要になる不具合の検出にも対応している。
Axivion Suiteが“スイート”という製品名になっているのは、静的解析と併せてアーキテクチャ解析の機能を搭載しているからだ。「アーキテクチャ解析では、オブジェクト間の相関を見ることで、あらかじめ定義したアーキテクチャ仕様と実際に作成したソースコードへの実装の一致を確認することができる。静的解析にアーキテクチャ解析を組み合わせることで、クリーンなソースコードを保ち、継続的なリファクタリングも可能になる」(Qt Groupの説明員)。また、Axivion Suiteでは、アーキテクチャ解析のベースとなるアーキテクチャ仕様を作成できるアーキテクチャモデリングツールの「Gravis」も搭載している。
Qt Groupの「Axivion Suite」の画面。上側のディスプレイ画面にあるのが「Gravis」で表示したアーキテクチャ仕様で、下側のノートPCの画面に表示されているのが「Axivion Suite」による解析結果[クリックで拡大]
GUI開発フレームワーク「Qt」で知られるQt Groupだが、2021年4月に自動GUIテストツールの「Squish」を手掛けるfroglogicを買収した。今回紹介したAxivion Suiteも加わり、GUI開発との関わりが深いソフトウェアテスト事業の強化も図っている。
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