リターナブル容器の追跡、管理を実現し紛失を防ぐソリューションを開発:リサイクルニュース
サトーは、ソフトウェア「IritoDe(イリトデ)」シリーズの新パッケージとして「IritoDe リターナブル容器管理」を開発し、2024年12月2日に提供を開始した。
サトーは2024年12月2日、ソフトウェア「IritoDe(イリトデ)」シリーズの新パッケージとして「IritoDe リターナブル容器管理」を開発し、同日に提供を開始したと発表した。
IritoDe リターナブル容器管理の開発背景
製造現場では、材料や商品の運搬のために、キャニスター缶、ガスボンベ、IBC(Intermediate Bulk Container、中間容量コンテナ)、SUS(ステンレス)ドラムなど多様なリターナブル容器が使用されている。容器保有数が5万点を超える企業や、容器使用による1日の出荷数が1000点を超える企業も存在する。これらは工場から出荷後、物流拠点や顧客の拠点へと複雑に搬送されるため、移動履歴や在庫の管理が難しい資材だ。
通常は、リターナブル容器に入った商品が目的地へ到着し、内容物が消費された後、容器は発送元へ返却される。しかし、その管理方法は企業や拠点ごとにさまざまで、管理に人手をかけられない場合もあり、滞留や紛失の要因となっている。製造業の多くの企業では、リターナブル容器を管理したいというニーズがありながら、人手や手間がかかるため改善が難しい。
さらに、管理のしにくさから、リターナブル容器が紛失しても、「いつ、どこ」で無くなったのかを追跡や確認ができないという問題もある。リターナブル容器の欠品は生産計画や納品遅延の原因となるため、新たな容器の購入コストとなっている。リターナブル容器の管理がしやすくなることは、容器の欠品や在庫過多を回避し、企業の業務効率の改善とコスト削減につながる。
IritoDe リターナブル容器管理の概要
一方、サトーでは、リターナブル容器を管理するシステムの導入実績(個別開発)があることや、昨今のRFID普及に伴い、複数の顧客から同様の相談が増加傾向にある。このニーズに対応するため、中身を保護する容器やコンテナに特化したソリューションとしてIritoDe リターナブル容器管理を開発した。
IritoDe リターナブル容器管理は、RFIDのラベルやタグを対象のリターナブル容器に貼ることで各容器の使用履歴をデータ化し、システム上で一元管理する仕組みを備えたパッケージで、製造業の業務効率の改善をサポートする。このソリューションは、RFIDを非接触かつ一括で読み取れるため人手や時間をかけずに管理でき、生産に利用可能な容器の状態、数量、所在が正確に把握可能なため、生産計画や出荷業務の効率化を実現。容器在庫の適正化や、利用状況の可視化による運用改善にも役立つソリューションだ。
また、サトーでは、タギング(タグを用いた対象物の整理)や現場環境を考慮した読み取り精度向上の知見を生かし、各容器に対応したRFIDモールドタグや金属対応ラベルなど最適なタグとラベルを提案する。
IritoDe リターナブル容器管理の機能
IritoDe リターナブル容器管理は、「リターナブル容器に特化した状態管理」「在庫管理、出荷先管理、履歴管理」「使用回数アラート」「探索時間を短縮」「他のシステムとの連携」といった機能を備えている。
「リターナブル容器に特化した状態管理」では、RFID技術を活用し、リターナブル容器の状態を詳細に管理する。洗浄前、洗浄済み、充填済みなど、容器の状態をリアルタイムで把握でき、効率的な運用が可能だ。
「在庫管理、出荷先管理、履歴管理」では、RFIDを使用することで、1個単位で容器の情報を正確に管理する。加えて、容器ごとに、状態、保管場所、出荷先、数量を把握できる他、入荷、出荷、洗浄、充填などの処理履歴を詳細に記録し、誰がいつどの処理を行ったかを追跡可能だ。
「使用回数アラート」では、容器の使用回数を管理し、利用する回数の上限に近づくとアラートを表示する。該当する容器は使用を制限されるため、安全対策として役立つ。
「探索時間を短縮」ではRFID探索機能があるため容器を指定して探すことが可能だ。「他のシステムとの連携」では、各データはCSVファイルでのインポート、エクスポートに対応している。既存の生産管理システムなどのインタフェース変更が不要なため、導入しやすい。
IritoDe リターナブル容器管理が対応するプリンタは同社のスキャントロニクス「CL4NX J-Plus」と「SCeTa CT4-LX」だ。両製品はラベル面へ文字やバーコードの印字と、RFIDへのデータ書き込みが行える。
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