CAE顧客向けに物理デジタルツイン構築を支援する「NVIDIA Omniverse Blueprint」:CAEニュース
NVIDIAは、産業用ソフトウェア開発企業がCAE顧客向けにリアルタイムのインタラクティブ性を備えたデジタルツイン作成を支援する「NVIDIA Omniverse Blueprint」を発表した。既に主要なCAEベンダーなどが採用および導入検討を進めている。
NVIDIAは2024年11月18日(現地時間)、産業用ソフトウェア開発企業がCAE顧客向けに、リアルタイムのインタラクティブ性を備えたデジタルツイン作成を支援する「NVIDIA Omniverse Blueprint」を発表した。NVIDIAのアクセラレーションライブラリ、物理AI(人工知能)フレームワーク、インタラクティブな物理ベースレンダリングを含む参照ワークフローにより、1200倍高速なシミュレーションとリアルタイムのビジュアライゼーションを実現する。
NVIDIA Omniverse Blueprintは、ソルバーを高速化するライブラリ「NVIDIA CUDA-X」、モデルをトレーニング/展開してフローフィールドを生成する物理AIフレームワーク「NVIDIA Modulus」、3Dデータの相互運用性とリアルタイムRTX対応のビジュアライゼーションを実現する「NVIDIA Omniverseアプリケーションプログラミングインタフェース」を統合している。
これにより、Altair Engineering、Ansys、Cadence Design Systems、Siemensなど、産業用ソフトウェアを開発する企業は、顧客が開発コストとエネルギー使用量を削減しつつ、市場投入を短期化できるよう支援できるようになる。
NVIDIA Omniverse Blueprintの応用例の1つに、数値流体力学(CFD)シミュレーションがある。自動車や航空機などの設計において、設計の最適化までに数週間から数カ月かかることもあるが、業界初の試みとして、同社とLuminary Cloudはスーパーコンピューティングの国際会議「Supercomputing 2024」(SC24)で仮想風洞のデモを実施。トンネル内で車両モデルを変更しながら、ユーザーがリアルタイムかつインタラクティブな速度でCFDシミュレーションを実行し、視覚化できることを示した。
既に、同社のエコシステムパートナーであるAnsysやLuminary Cloudが、NVIDIA Omniverse Blueprintを採用している。例えば、Ansysでは同ツールを流体解析ソフトウェア「Ansys Fluent」に適用し、計算流体力学シミュレーションを高速化した。他にも、Altair Engineering、BeyondMath、Cadence Design Systems、Hexagon、Neural Concept、Siemens、SimScale、Trane Technologiesが、自社アプリケーションへの導入を検討している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Ansysが語る、エンジニアリングシミュレーションの最新動向
アンシス・ジャパンは年次イベントに合わせて記者説明会を実施した。 - 「NVIDIA Omniverse」で製造業の3Dワークフローはどう変わるのか?
デル・テクノロジーズ主催セミナー「製造業デジタルツイン最前線 - NVIDIA Omniverse導入で進む産業メタバース」の講演レポートをお届けする。 - 産業向けで広がる「Omniverse」の世界、API対応でデジタルツインの構築が容易に
NVIDIAは「GTC 2024」において、3Dデザインコラボレーション/リアルタイムシミュレーション基盤のクラウドサービス「NVIDIA Omniverse Cloud」で、製造業向けをはじめとするさまざまなツールとの連携が容易になるAPI群「NVIDIA Omniverse Cloud APIs」を発表した。 - 3Dコラボレーションやデジタルツインを加速する「Omniverse」とは
デル・テクノロジーズ主催セミナー「Workstation Masterclass - デジタルツインはこう攻めろ、最新ソリューションを知る」の講演内容から一部を抜粋し、「NVIDIA Omniverse」の概要や活用事例などを紹介する。 - CAEによる解析結果の可視化を実現するワークステーション環境を提供
GDEPソリューションズは、グループ企業のプロメテック・ソフトウェアと共同で企画開発した「シミュレーション可視化Workstation」の販売開始を発表した。NVIDIA RTX GPUを搭載したワークステーションに、プロメテック・ソフトウェアが開発したシミュレーションデータ変換ソフトウェア「SIMUNIMA」のトライアルライセンスと、「NVIDIA Omniverse」のインストール手順書が付属する。 - Omniverse Cloudが世界中のチームをつなぎ産業用メタバースの構築/運用を支援
NVIDIAはオンラインで開催中のユーザーイベント「GTC September 2022」において、産業用メタバースアプリケーションの構築と運用を可能にする初のSaaS/IaaS製品「NVIDIA Omniverse Cloud」のサービス提供開始を発表した。