ゴム人工筋肉を用いたロボが「無」を提供する店舗が下北沢で開業:イノベーションのレシピ
ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズとクリエイター集団のKonelは、2024年11月28日〜12月20日にかけて、東京都世田谷区の商業施設「ミカン下北」で無目的室「Morph inn Shimokitazawa」を開業する。
ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズとクリエイター集団のKonelは2024年11月27日、東京都内で記者会見を開き、東京都世田谷区の商業施設「ミカン下北」に無目的室「Morph inn Shimokitazawa」を同月28日に開業すると発表した。Webサイトでの予約受付も開始している。
Morph inn Shimokitazawaの営業期間は2024年11月28日〜12月20日で、基本料金は25分の利用で初回1500円〜(税込み)となる。同店舗は、同年5月17〜25日にオープンしたMorphの表参道店(東京都渋谷区)、2024年8月21〜28日に開業したMorphの虎ノ門ヒルズARCH店(東京都港区)に続く実験店舗だ。今回の店舗は、VIE、第一三共ヘルスケア、NTT東日本グループ、エステー、Ochill、日本草木研究所とと共創し構築した。
下北で北海道釧路のトドマツ森林を体験可能
Morph inn Shimokitazawaは、ブリヂストンが開発したゴム人工筋肉(ラバーアクチュエーター)と自然界のモーションを収録/再生する技術を組み合わせた柔らかいロボット「Morph」などによりサービスとして「無になる時間」を提供する店舗だ。
ゴム人工筋肉は、独自のゴムチューブとスリーブで構成されており、チューブ内に空気を送り加圧することで収縮。ゴムチューブとスリーブの間に薄い金属板を入れることで、指の様に湾曲する動きも実現する。
同店舗では、利用者が「無前(むぜん)」「無中(むちゅう)」「無後(むご)」の3ステップで「無になる時間」を楽しめる。
無前では、VIEが提供している音楽アプリ「VIE Tunes」で神経科学を踏まえて作成された新しい音楽「ニューロミュージック」を聞くことでリラックスできる状態を作り出す。ニューロミュージックは、いわゆる「ととのう」状態に関係があるとされているシータ波や認知機能に関係があるとされているガンマ波を増強する特殊な音を用いて作られている。
その後、ファインが製造し第一三共ヘルスケアが供給する「無を深めるドリンク」と「無から冴えるドリンク」を利用者に提供する。第一三共ヘルスケアの説明員は「無から冴えるドリンクにはカフェインが含まれている。カフェインの覚醒作用が効くのにはある程度の時間がかかる。そのため、無になる時間を体験した後にカフェインの覚醒作用で目覚められる」と話す。
無中の時間では、利用者が小さなMorphを体にかけて大きなMorphの上で横たわり、NTT東日本グループとエステーのコミュニティー「ZAKONE」が提供するバーチャル森林浴「ZZZN NATURE(ズズズンネイチャ)」を体験する。ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ 主幹の山口真広氏は、「大きなMorphの上に横たわり、小さなMorphを抱きかかえることで、送られた空気により不規則に動くこれらの柔らかいロボットに自らをゆだね、無になる時間を過ごせる」と述べた。
ZZZN NATUREでは、プロジェクターや音楽、エッセンシャルアロマオイルなどで、睡眠への効果が実証された北海道釧路のトドマツ森林を五感で体感できる空間を構築する。具体的には、北川陽稔氏がプロデュースしたトドマツ森林の映像、Seiho氏が森のざわめきを繊細に収音して作成した音楽、エッセンシャルアロマオイルの香りにより、トドマツ森林を再現。これらにより深くリラックスできる空間を提供する。なお、ZZZN NATUREの提供は2024年12月9〜16日の期間限定となる。
無後では、Morph inn Shimokitazawaの最寄りにあるバー「FAIRGROUND BAR&Wine shop」で同店が開発した、「無」を締めくくるカクテルを味わえる。加えて、「無になる時間」の終了後に仕事がしたい利用者に向けて最寄りにあるSYCLの「SYCL by KEIO」を一時利用できるプランも提供する。
また、オープニング記念として、2024年11月28〜30日にかけて、Ochillの「茶香(吸うお茶)」と日本草木研究所の新感覚飲料「草木炭酸フォレストソーダ」も提供。茶香は水たばこ(シーシャ)の原理を応用し、吸う茶を実現している。草木炭酸フォレストソーダは国産の野生香木を蒸留/加工した飲料で、木に含まれ精神安定効果がある香り成分「フィトンチッド」を楽しめる。
ソフトロボティクス ベンチャーズ CEOの音山哲一氏は、「2025年にイタリアのミラノ市で開催される家具の見本市『ミラノサローネ』にMorphなどを出展し、イタリア進出を図る」と今後の展望を語った。
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