北米AMRの実力はいかに、ニーズ高まる搬送自動化はMESやPLCと連携で統合:Automation Fair 2024
OTTO Motorsは米Rockwell Automation(ロックウェル・オートメーション)の年次イベント「Automation Fair 2024」において、AMR(自律型搬送ロボット)やAGF(自動フォークリフト)、パレタイジングロボットを使ったデモンストレーションを披露した。
OTTO Motorsは米Rockwell Automation(ロックウェル・オートメーション、以下ロックウェル)の年次イベント「Automation Fair 2024」(2024年11月18〜21日:現地時間、米国カルフォルニア州アナハイム)において、AMR(自律型搬送ロボット)やAGF(自動フォークリフト)、パレタイジングロボットを使ったデモンストレーションを披露した。
OTTO Motorsは、ロックウェルが2023年に買収したカナダのClearpath Roboticsの中で、産業用途のAMRを開発、製造する事業部門だ。Clearpath Roboticsはカナダのウォータールー大学在学中にAMRの開発を進めていた学生2人が、卒業後の2008年に設立した企業で、AMRおよび関連ソフトウェアの開発を行ってきた。
ロックウェルでは製造業の次世代の自動化を進める3つのテーマとして、統合されたロボット(Integrated Robotics)、AI(人工知能)、SDA(Software Defined Automation)を掲げている。その中で、統合されたロボットの1つのソリューションがAMRなどを用いた搬送の自動化だ。米国では人件費の高騰が続き、製造現場では人手不足が深刻化している。ワークの搬送など単純な業務の自動化のニーズが高まっているという。
OTTO Motorsの共同創業者でCEOのMatt Rendal(マット・レンダル)氏は「これまでに米国の自動車産業や食品、消費財、ライフサイエンス分野で導入されている。製造業者の50%超が今後5年間にロボットや自動化の導入を考えているというレポートもある。舞台は整っている。これから5年ほどはAMR導入の黄金期になるのではないか」と期待する。
OTTO MotorsのAMR「OTTO」やAGF「OTTO Lifter」は、LiDAR(Light Detection And Ranging)や3Dカメラを搭載しており、周囲の状況を認識しながら自律走行でき、障害物を認識すると迂回して目的地まで到達する。それらの管理システムである「Fleet Manager(フリートマネジャー)」ではAMRの操作の他、運行エリアにおける速度制限や、進入禁止エリアなどの設定が可能だ。100台超のAMRを同時に制御できるという。
会場のデモンストレーションでは、積載重量1900kgの「OTTO 1500」と積載重量1200kgのOTTO Lifterが、パレット置き場から荷物が載ったパレットと空のパレットをパレタイジングロボットまで運び、空いているパレットにロボットが荷物を載せると、再びパレット置き場まで戻す動作を行った。また、積載重量150kgの「OTTO 100」がOTTO 1500とOTTO Lifterの隙間を縫って走行する様子も披露した。
作業指示自体はロックウェルのクラウド型MES(生産実行システム)「Plex」から、フリートマネジャーへと出されている。会場のモニターでは、フリートマネジャーをPlexの機能モジュールの1つである「Asset Performance Management」とつなげることで、AMRらの稼働状況などを表示した。米国ではPlexはさまざまな機能モジュールを持っており、MESはその1つにすぎない。また、フリートマネジャーはPLC(プログラマブルロジックコントローラー)とも連携が可能という。
OTTOは拡張性が高く、単に乗せられた荷物を搬送するだけでなく、コンベヤーを付けたり、台車を搬送したりすることも可能だ。
会場では米国のGE Aerospaceの導入事例として、工場内でOTTO 100がファナックの協働ロボットを搭載した台車の下に潜り込み、工作機械の前まで搬送。ロボットがワークの取り出しを終えると、また別の場所にロボットを運んで作業させる様子を紹介していた。
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