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製造現場もソフトウェアデファインドへ、ロックウェルが描く次世代の自動化Automation Fair 2024

米Rockwell Automation(ロックウェル・オートメーション)の年次イベント「Automation Fair 2024」において、初日の基調講演に同社 CEOのBlake Moret(ブレイク・モレット)氏らが登壇し、今後の同社の方向性などを紹介した。

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 米Rockwell Automation(ロックウェル・オートメーション、以下ロックウェル)は、自社やパートナー企業の最新ソリューションなどを紹介する年次イベント「Automation Fair 2024」(2024年11月18〜21日:現地時間、米国カルフォルニア州アナハイム)を開催。初日の基調講演には同社 取締役会長 兼 CEOのBlake Moret(ブレイク・モレット)氏らが登壇し、今後の自動化の方向性などを紹介した。

今後はそれぞれのソリューションの連携強化に注力

ロックウェル・オートメーション CEOのブレイク・モレット氏
ロックウェル・オートメーション CEOのブレイク・モレット氏[クリックで拡大]

 冒頭、来場者に会場の端から端への“ウェイブ”を呼び掛けて場内を盛り上げたモレット氏は「製造業が何をしているのか、何を可能にしているのか考えてほしい。十分な食料や清浄な水、医薬品、エネルギーなどを人々に提供してきた。われわれが行っていることは重要な意味を持つことであり、それがまさに今回のAutomation Fairのテーマでもある」と製造業の重要性を強調した。

 近年、ロックウェルはリニア搬送装置の開発、製造を手掛ける米国のMagneMotion(2016年)や、クラウド型MES(製造実行システム)「Plex」を提供する米国のPlex Systems(2021年)、AMR(自律型搬送ロボット)を開発するカナダのOTTO Motors(2023年)を買収するなど、ソフトウェア、ハードウェアともに積極的にグループを拡大してきた。Plexは米国のキッコーマンにも導入されているという。


会場は各国からの来場者でにぎわう[クリックで拡大]

「今後、数年間の焦点は、これらの間の非効率性を取り除き、適用や設計、維持を容易にすることであり、外部から新しい機能を追加するのではなく、すでにわれわれのロードマップにあるものをより一層うまく連携させるようにすることだ。自動化のプロセスで生まれるデータを最大限に活用するためのソフトウェアアプリケーションを提供し、エッジとクラウドのソリューションを活用することが重要になる」(モレット氏)

 従来の製造プロセスの自動化から自律化に移行させる大きな要素がAI(人工知能)である。ただ、そこで重要なのはAIをどのように活用するかだ。

「AIに真の付加価値をもたらす機会はあくまで既存のワークフローの一部にすることであり、AIによってこれまでのワークフローを排除するべきではない。このことは、われわれが多くのユーザーとの対話によって得たものだ」(モレット氏)

自動化もソフトウェアデファインドへ


ロックウェル・オートメーション CTOのシリル・ペルドカット氏[クリックで拡大]

 モレット氏の後を受けて登壇した同社 上級副社長 兼 最高技術責任者(CTO)のCyril Perducat(シリル・ペルドカット)氏は今後の製造プロセスを変革するイノベーションとして、統合されたロボット(Integrated Robotics)、AI、SDA(Software Defined Automation、ソフトウェア定義型自動化)の3つのテーマを紹介した。

 統合されたロボットのテーマでは、ロックウェルが買収したOTTO Motors CEOのMatt Rendal(マット・レンダル)氏が登壇し、「AMRには最先端のセンサーやコンピュータ、ソフトウェアが搭載されている。AMRは単に搬送を担うだけでなく、データプラットフォームと組み合わせることで、搬送を行うたびにデータを収集し、モデル化することができ、生産工程のボトルネックを把握できる」と話した。同社のAMRはさまざまな装置を統合することができ、産業用ロボットを搭載したAMRがヒロテックの米国工場で工作機械からのワークの出し入れにも活用されているという。

 AIに関しては、ロックウェル 副社長(AI担当)のJordan Reynord(ジョーダン・レイノルド)氏が招かれ、機械学習を活用した外観検査向けの最新ソリューションとして「FactoryTalk Analytics Vision AI」を紹介。ノーコードで簡単に学習モデルを運用できる他、「良品と不良品のサンプルを提供するだけで、良品と不良の違いを学習できる」など導入のハードルの低さを強調した。

 SDAに関しては、同社 副社長(設計&コントロール担当)のDan DeYong(ダン・デヨン)氏が「SDAではこれまでと進め方が逆になる。業務支援を行うCopilotをはじめバージョン管理機能を備えた最新のITツールを活用し、クラウドまたはエッジで、ハードウェアに依存しないプログラミングをし、そして最後にハードウェアを選択する。必要があれば変更する。これまでの自動化のアプローチは、未来の産業オペレーションに対して十分ではない。われわれの次世代の自動化ソリューションが、SDAへの移行を不可避で間近に迫ったものにするだろう」と意気込んだ。

左からOTTO Motorsのレンダル氏、ロックウェルのレイノルド氏、デヨン氏[クリックで拡大]

 Automation Fairは今回で33回目を迎える。ロックウェルやパートナー企業の製品やソリューションの展示の他、200以上のセッションも行われ、期間中に1万2000人の来場を見込んでいる。

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