工場単位のスマートファクトリー化には約3分の2が「取り組んでいない」:スマートファクトリー(1/2 ページ)
アビームコンサルティングは日本企業におけるスマートファクトリーへの取り組み実態の把握と課題特定を目的として「スマートファクトリーの現状調査」を実施し、その主要結果を公表した。
アビームコンサルティングは日本企業におけるスマートファクトリーへの取り組み実態の把握と課題特定を目的として「スマートファクトリーの現状調査」を実施し、2024年8月21日にその主要結果を公表した。その結果、工場単位のスマートファクトリー化に取り組んでいる企業は全体の3分の1程度であることが明らかになった。
スマートファクトリーへの取り組む企業は約3分の1
アビームコンサルティングでは2024年2月にインターネット調査により、業種や企業規模がさまざまな6186人の製造業従事者を対象に調査を実施し、その結果をまとめている。
まず、スマートファクトリーへの取り組み状況だが、「モデル工場を設定し、スマートファクトリーに取り組んでいる」と回答した企業は23.5%で、「モデル工場での取り組みが完了し、他工場への展開を進めている」と回答した企業は9.4%となり、合計で32.9%となった。ライン単位や機械単位のスマート化やデータ活用などの比率はもっと増えると考えられるが、工場単位での取り組みについては約3分の1で、残りの3分の2は取り組んでいないという状況が明らかとなった。
また、製造業内の業種で見ると「繊維」が「モデル工場を設定し、スマートファクトリーに取り組んでいる」と「モデル工場での取り組みが完了し、他工場への展開を進めている」の合計で49.5%と高い割合でスマートファクトリー化を進めている。次いで「半導体/電子部品/電気部品/工作機械」が合計37.6%、「輸送用機械」が合計36.3%、「ガラス/ゴム/紙/セラミック」が合計35.8%、「鉄鋼/非鉄金属/金属」が合計35.7%と続いている。企業規模別で見た場合は、規模が大きくなるほど取り組みが進んでいる傾向が出ている。
全ての項目で約4割が「うまく進んでいない」
スマートファクトリーで目指す姿としては、「完全自動化の実現」が45.7%と半数を占め、次いで「工場データとサプライチェーンデータの連携の実現」が20.9%、「匠の技術継承の実現」が13.7%という結果となった。
これらの取り組みがうまくいっているかを聞いた設問では、全項目で50%以上が「うまく進んでいる」と回答していた。一方で「匠の技術継承の実現」以外は40%以上が「うまく進んでいない」としていた。調査では「スマートファクトリーの成否が二極化している」と考えを示している。
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