工場単位のスマートファクトリー化には約3分の2が「取り組んでいない」:スマートファクトリー(2/2 ページ)
アビームコンサルティングは日本企業におけるスマートファクトリーへの取り組み実態の把握と課題特定を目的として「スマートファクトリーの現状調査」を実施し、その主要結果を公表した。
課題は人材、予算の他、既存業務の「そのままスマート化」
さらに、「完全自動化」と「工場データとサプライチェーンデータの連携」について進める上での課題を聞いたところ、どちらの項目でも最も大きな比率として「活動を推進する人材が不足している」が挙がり20%前後を占めた。また「活動予算が限られる」についても「完全自動化」で17.5%、「サプライチェーンデータ連携」で9.7%の回答となり、高い比率を占めている。
一方でコメントとして、個別工程の自動化やサプライチェーンデータ活用の「モデルケースの不足」「完成後の業務イメージがない」などのコメントも出ており、将来の工場像に向けて取り組むべき自動化やデータ連携が、既存業務の延長線上での取り組みになっている結果、成果につながりづらくなっている状況が伺える。
経営層の理解度が高く積極的に関与する方が成功の比率は高い
今回の調査では、スマートファクトリーに対する成否と経営層のコミットメントについての関係性などについても調べているが、「経営層の活動理解度が高く、積極的に参加している」という企業では、スマートファクトリーが「うまくいっている」とした企業が83.3%となり、非常に高い比率を占めた。
次いで「経営層の活動理解度は高いが、積極的に参加しているとはいえない」とした企業では、「うまくいっている」が57.7%、「うまくいっていない」が42.3%となり、「経営陣の活動理解度は低いが、積極的に参加している」企業では「うまくいっている」が51.7%、「うまくいっていない」が48.3%と、ほぼ同等の結果となった。
一方で「経営陣の活動理解度は低く、積極的に参画していない」とした企業では「うまくいっている」が20.9%と極端に低い結果となった。経営層による積極的な参画や理解が、スマートファクトリーの成否に何らかの影響を与えていることが明らかになったといえる。
アビームコンサルティングではこれらの調査結果を受けて、以下の4つの点での取り組みが必要だと方向性をまとめている。
- スマートファクトリーの将来像の巻きなおしが必要
- 既存の延長にない工程やレイアウトの作り込みが必要
- デジタルツインの活用が重要
- 経営層は活動へのコミットメントだけでなくリソース確保も必要
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