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経産省が「7つのリファレンス」でモノづくりのスマート化を図る理由FAインタビュー(1/3 ページ)

経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は共同で「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を策定した。策定の背景を経済産業省に聞いた。

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 経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は共同で「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を策定し、2024年6月28日に公開した。なぜガイドラインの作成に至ったのか。策定の背景を経済産業省 製造産業局 製造産業戦略企画室長の川村美穂氏、同 室長補佐の稲垣敦史氏に聞いた。

課題を起点にして製造プロセスの全体最適を

MONOist スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン策定の背景とは。

稲垣 これまで経済産業省はデジタルガバナンス・コードのようにデジタル化による社会変革を踏まえた経営層の考え方や、工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン【別冊:スマート化を進める上でのポイント】などの新しいツールを導入する際のガイドラインを発行してきた。

 ただ、企業の具体的な経営課題に対してDXをどのように進めるべきか、といったオペレーションに関しては空白地帯になっていた。

 アンケートでも、DXを阻害してる要因について聞くと、人手不足に加えて、そもそも考え方や情報が不足しているといった回答が多かった。


全体最適が進まない理由の上位に挙がる「検討の進め方・手法」[クリックで拡大]出所:NEDO「製造業におけるダイナミック・ケイパビリティ向上を実現するための課題体系化等に係る調査事業」より経済産業省作成

 ツールや意気込みありきではなく、必要なDXツールを導入する際の考え方や、そもそも変革すべきポイントはどこにあるのかなどを、課題を起点として包括的にガイドしていくことが大事だと考え、今回の発行に至った。企業全体もしくは業務全体で最適化していく道筋づくりが重要だというのがガイドラインの策定の背景になっている。

川村 経済産業省も製造業のDXが大事だと、機器導入の補助金も含めて訴えてきたが、なかなかうまく進んでこなかった。どうすれば全体の機能、システムを連携させて付加価値に結び付けていくことができるのか、その考え方を皆さまにお伝えできるようなガイドラインを作りたいと考えてきた。さらに、そこを踏まえた上で具体的なアクションを起こせるような内容につなげていきたいという思いだ。

MONOist 今回のガイドラインの特色とは。

稲垣 今回のガイドラインでは、7つのリファレンス(参照、参考)を設定し、読者のスマートマニュファクチャリング構築を促そうとしている。


スマートマニュファクチャリング構築ガイドラインで作成した7つのリファレンス[クリックで拡大]出所:NEDO「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」

7つのリファレンスの概要[クリックで拡大]出所:NEDO「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」より経済産業省作成

 入口に当たるのはリファレンスの1つ目の「変革の起点となる外的要因」と2つ目の「変革の起点となる内的要因」だ。

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