経産省が「7つのリファレンス」でモノづくりのスマート化を図る理由:FAインタビュー(2/3 ページ)
経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は共同で「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を策定した。策定の背景を経済産業省に聞いた。
57個の変革課題マップから進むべき道筋を探る
稲垣 外的要因では、例えば地政学リスクやパンデミックの増加、労働人口の減少、顧客ニーズの多様化などの9つの項目から自社がどんな変革を進めるべきかを参照できるようになっている。内的要因では、生産システムは労働集約型か、設備集約型か、需給特性は見込み生産か、個別受注生産かなどから生産システムを9つの基本類型に分けている。
この外的要因と内的要因の両面から、リファレンスの3つ目「マニュファクチャリング変革課題マップ」で何に取り組むべきか、リファレンスの4つ目「変革課題別実現レベル5段階」でどのレベルを目指すのか、リファレンスの5つ目「実現レベル別仕組み構築手法」でどのように実現するのかを探り、自社にとって最適な変革シナリオ作りをガイドしていくコースとなっている。
稲垣 マニュファクチャリング変革課題マップでは、製造事業者へのアンケートやインタビューをもとに57個の変革課題にまとめており、各社が抱えるそれぞれの外的要因、内的要因の項目に応じて57個の中から適切な経営変革課題を選ぶことができ、具体的に何をしていくべきかを把握できるという仕組みだ。
変革課題別実現レベル5段階では、情報の標準化から情報・データの蓄積、データによるプロセス連携、多頻度解析による最適化、現実との双方向連携まで5つのレベルを設定しており、57個の変革課題それぞれにレベルごとにやるべきことを紹介し、実現レベル別仕組み構築手法では、そのために必要となるシステム構成や実装ソリューションなどを整理している。
適切な変革課題を選ぶことができても、取り組みを進めるのが難しいケースもある。そこで、実際にプロジェクトをどのように進めていけばいいのか、リファレンスの6つ目「企画から実装に至るプロジェクト設計」では、プロジェクトの企画、設計からベンダーの選定や実装するまでの各ステップの実施事項などをまとめている。
リファレンスの7つ目「プロジェクト推進モデル事例」では、生産システムの類型ごとに変革課題に対してどんなプロジェクトを進めたのか、各社の具体的な取り組み事例を紹介している。
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