国内外の調達リスクを地図上にリアルタイムに可視化 「Spectee SCR」が機能拡充:製造マネジメントニュース
Specteeは、自社とサプライヤーに関連するサプライチェーンリスク情報の自動収集、見える化を行う製品「Spectee SCR」の機能強化について発表した。
Specteeは2024年11月14日、自社とサプライヤーに関連するサプライチェーンリスク情報の自動収集、見える化を行う製品「Spectee SCR」の機能強化について発表した。海外で発生したリスク情報を、これまでよりピンポイントで把握できるようにした。
リスク対応の工数を削減
Specteeは2011年に創業した企業で、SNSや気象/人流/人工衛星などから収集したデータをAI(人工知能)でリアルタイムに解析し、世界中の自然災害や事件/事故などのインシデント情報を瞬時に可視化するサービス「Spectee Pro」などを提供している。同製品は製造業や小売業を中心とする民間企業の他、中央省庁や地方自治体、各種報道機関などに導入されている。
今回機能拡充を発表したSpectee SCRは、Spectee Proの機能をベースに2023年11月にリリースした製造業の調達部門向け製品だ。地図上に自社やサプライヤーの工場など拠点をマッピングし、その付近で生じた自然災害や事件/事故などの情報を一元的に確認できる。
ERPなどと連携してBOM(部品票)の情報を取り込んでおけば、各拠点で製造、調達している部品や部材、また、それらのサプライチェーン上の流れを地図上で把握できる。製品名は「Supply Chain Resilience」(サプライチェーンレジリエンス)から。
今回発表したアップデートは主に2つある。1つは国外地域のサプライチェーンリスク情報の発生箇所を、より細かな位置に紐づけて把握できるようにした点だ。Spectee 代表取締役 CEOの村上建治郎氏は「リスク発生地点からサプライヤーの場所が何メートル圏内にあるかまでピンポイントで把握できるようにした」と説明した。もう1つは、リスク発生時にサプライヤーに被害状況を確認するアンケートを自動送付する機能を実装した点だ。
製造業はこれまで自然災害などへのサプライチェーンリスクの対応として、被害が予測される場合には対策チームを組織して、発注購買システムなどからデータを抽出し、Excelなどで影響の範囲を分析していた。サプライヤー情報などもExcelなどで確認した上で、部品供給に影響があるかを電話で逐一確認するため、時間と手間がかかる。
Spectee SCRは、こうしたサプライチェーンリスクに対する覚知/分析/対応のプロセスの自動化に貢献し得る。Spectee Proに搭載されているAIと人手でのモニタリングによって、情報源の正確性を精査する仕組みもある。これによって業務の工数と属人性を減らし、情報の正確性を担保しつつ、サプライチェーンリスクへの対応業務を効率化する効果が見込める。すでに大手半導体メーカーや自動車関連メーカー、機械メーカーでの導入実績がある。
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