データと現場は乖離する? サプライチェーンを正確に可視化する6つのヒント:サプライチェーンの「可視性のギャップ」に光を照らす(後編)(1/2 ページ)
データ収集の課題を解決し、倉庫業務における複雑な問題に対処するには、業務効率を向上させる先進的なテクノロジーの導入を検討する必要があります。本連載では、サプライチェーンにおける商品、情報、リソースの可視性がどのような役割を果たすか、また、データの断片化に起因する可視性のギャップを埋めるためのヒントを紹介します。
前回の記事では、サプライチェーンにおける可視性の役割と、「可視性のギャップ」が生まれる要因を紹介しました。今回は、可視性のギャップを埋めるためのヒントをご紹介します。
可視性のギャップを埋めるには?
Dexoryの調査によると、倉庫管理ではサイクルカウントや在庫確認などの一見簡単な作業に、一棟当たり年間平均6500時間という驚くべき時間が費やされています。膨大な時間に思えますが、これでも、全作業時間を正確に反映しているわけではないのです。
作業時間のデータは、ある時点で切り取られた部分だけが収集されています。倉庫やサプライチェーンは常に変化しており、細切れのデータのスナップショットはすぐに古くなってしまいます。このことから、多くの企業が、データの正確性は実際の作業現場の実態と乖離しているものだと考えるようになっています。
では、この可視性のギャップはどのように埋めたらよいのでしょうか。サプライチェーンにおける可視性のギャップを埋めるための提言をいくつかご紹介します。
(1)リアルタイムデータ
リアルタイムのデータを収集することで、全ての業務を全体的な視点で見ることができます。データが倉庫管理システム(WMS)と一致していると確認することで、システム内にある不具合の迅速な発見も可能になります。そのためにも、在庫レベルや発注状況、出荷追跡の情報を即座に更新できる統合システムへの投資が必要です。
また、既存のWMSのデータは、往々にして不十分であると認識しておくことが重要です。あくまで異なる時点で取り込まれた、部分的またはタイムラグのあるデータスライスを「全体像」として集約していることが多いからです。この問題に対応するため、あらゆる関連データにアクセスするだけでなく、データの反映を最大限リアルタイムに近づけることで、正確な全体像を提供する機能を備えたソリューションもあります。その実現のため、RFIDやIoT(モノのインターネット)センサー、自動データキャプチャーなどの最先端テクノロジーを採用することが推奨されます。
(2)高度なアナリティクスと予測監視
倉庫管理で中心的な役割を果たすのが、高度なアナリティクスと予測監視の機能です。AI(人工知能)などの最先端のテクノロジーを活用する上では、単に「データ量を増やす」だけでなく、「より新しいデータの量を増やす」ことに重点を置くべきです。
AIやアナリティクスでは、豊富なデータ量とデータの新しさが重要であるため、適時性を重視することは極めて重要です。高度なアナリティクスと予測モデリングを活用して、需要の変動予測、在庫レベルの最適化、倉庫内の潜在的ボトルネックの特定に役立てましょう。
AIによるアナリティクス/ソリューションを利用すれば、より多くのデータから、より多くの知見と可視性を生み出すことができます。これまでの思い込みではなく、業務の実態に基づいた意思決定を可能にするため、この点は特に重要です。
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