日立が新たなSCMプラットフォームを展開、TWX-21の8万5000社の取引データを基に:製造ITニュース
日立製作所は、サプライヤーの管理やサプライチェーンリスクの可視化が可能なサービスを備えるサプライチェーンデータ活用プラットフォーム「TWX-21 サプライチェーンプラットフォーム(TWX-21 SCPF)」を発売する。
日立製作所(以下、日立)は2024年11月12日、サプライヤーの管理やサプライチェーンリスクの可視化が可能なサービスを備えるサプライチェーンデータ活用プラットフォーム「TWX-21 サプライチェーンプラットフォーム(TWX-21 SCPF)」を発売すると発表した。
日立は企業間取引を支援するサービスとして1997年から「TWX-21」を展開しており、これまでにグローバルで約8万5000社の企業間取引を支えるなどの実績を積み上げてきた。一方、日立自身も、約3万社の調達パートナーと推進するサステナブル調達やレジリエンス向上など調達改革におけるサプライチェーン構築のノウハウを積み重ねている。
TWX-21 SCPFは、TWX-21が支える約8万5000社の取引データと日立の約3万社にわたるサプライチェーン構築のノウハウを掛け合わせることで、これまでの調達部門では難しかったデータドリブンな戦略的調達を可能にするサービスの提供を目指す新たなSCM(サプライチェーンマネジメント)向けのプラットフォームとなっている。今回のTWX-21 SCPFとしての発表と併せてサービス提供を開始するのは「サプライヤー管理サービス」と「サプライチェーンリスク可視化サービス」だ。
サプライヤー管理サービスは、日立が自社の調達業務で培ってきた内容に基づく、適切なサプライヤー管理を行うための管理項目があらかじめそろっており、組織や用途ごとに個別に管理されていたサプライヤーの情報を体系化して一元的に管理できることが特徴である。これまでサプライヤー情報は、人海戦術によるメール/電話での調査を行い、Excelなどの台帳データを使って人手で登録/管理するのが一般的だった。TWX-21 SCPFのサプライヤー管理サービスを使えば、情報の自動更新と一元管理が可能になり工数を削減することが可能になる。
一般的な財務情報に加え、環境や人権への取り組みなどのESG(環境、社会、ガバナンス)観点や、TWX-21の取引実績に基づくQCD(品質、コスト、納期)の観点での情報の管理/評価もサポートしている。また今後は、外部リサーチ会社とのデータベース連携やカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー関連など収集できる情報を拡充し、さまざまなサプライチェーンリスクに対応する持続可能なCSR(企業の社会的責任)調達の支援が可能な機能を追加していく方針である。
一方、サプライチェーンリスク可視化サービスでは、サプライチェーンのつながりをツリー状に可視化することで、2次サプライヤー以降の上流まで含めたサプライチェーン構造を分かりやすく管理することができる。また、自然災害やインフラ停止などサプライチェーンの寸断要因になる外的リスク情報を自動的に検知し、影響範囲を迅速に特定する機能も提供する。メディア記事やSNSからグローバルでの災害、事故、インフラ寸断、事件など多岐にわたるリスク情報を検知する機能も備えている。製造業でのBCP(事業継続計画)対応は進みつつあるものの、災害/被災情報の調査と更新は人海戦術で行い、Excelなどの台帳データで管理する点では、サプライヤーの管理と同様の課題があった。
なお、サプライチェーン構造の管理と可視化および外的リスクに関する情報の収集/可視化を行うのに、Resilireのサプライチェーンリスク管理サービスを用いている。Resilireのサプライチェーンリスク管理サービス単体では、2024年末〜2025年初にかけてサプライチェーンリスクに関するWhat-ifシミュレーションの機能を提供する予定であり、将来的にはTWX-21 SCPFでもWhat-ifシミュレーションの機能を組み込んでいく予定だ。
TWX-21 SCPFでは、今回の発表で「サプライチェーン高度化サービス」の枠組みに位置付けるサプライヤー管理サービスとサプライチェーンリスク可視化サービスの提供を開始した後、2025年度からは順次、両サービスの機能拡充を進めていきたい考え。TWX-21 SCPFの今後の方向性としては、「サプライチェーン最適化サービス」の位置付けで、計画最適化シミュレーションと需給調整が可能な「バリューチェーン最適化サービス」や、ビジネスマッチングやサプライヤーソーシングを行える「サプライチェーンコミュニティサービス」などを2026年度以降をめどに展開していく方針である。
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