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Osaka Metro新型車両400系の魅力と大阪発展のカギを握る中央線への期待鉄道大研究(1)(5/5 ページ)

大阪市交通局の民営化後、「Osaka Metro」の愛称を持つ大阪市高速電気軌道が初めて手掛けた新型車両の400系が2024年鉄道友の会ローレル賞に輝いた。宇宙船をイメージした斬新な前面デザインをはじめ、新機軸を満載した車両である。その魅力やこれからの中央線を探ってみた。

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課題は2025年日本国際博覧会の機運醸成

鉄道友の会 会長の佐伯洋氏とOsaka Metro 社長の河井英明氏
鉄道友の会 会長の佐伯洋氏とOsaka Metro 社長の河井英明氏[クリックで拡大]

「(400系は)万博を強く意識した車両でございます。(中略)万博に来られるお客さまが会場に“わくわく感”を持って、行っていただけることを望んでおります。万博まで、もう半年となってしまいましたが、“機運醸成”が課題だと言われております。今回のローレル賞受賞が万博への機運醸成につながることを願っております」

 中央線は2025年日本国際博覧会(通称、大阪・関西万博)において、唯一の鉄道アクセスとなる。Osaka Metro 社長の河井英明氏はローレル賞授賞式で、400系への自負、今後の課題を述べた。

 大阪府での万博開催は今回で3回目。1回目は1970年の日本万国博覧会で、御堂筋線と北大阪急行電鉄が鉄道でのメインルートとなり、3987万人が利用した。2回目は1990年の国際花と緑の博覧会(略称、花の万博)で、唯一の鉄道アクセスとして鶴見緑地線(現在の長堀鶴見緑地線)京橋−鶴見緑地間が開業し、797万1665人が利用した。

長堀鶴見緑地線の70系は1991年にローレル賞を受賞
長堀鶴見緑地線の70系は1991年にローレル賞を受賞[クリックで拡大]

 そして3回目は夢洲で開催される2025年日本国際博覧会だ。予算や工事の遅れなど、色よい話題が少ない。また、終了後はどのような街づくりを進めてゆくのか、先行きも不透明だ。

 中央線と相互直通運転を行う近畿日本鉄道は、架空電車線と第3軌条の両方に直通できる車両の開発に乗り出しており、夢洲発展のカギを握りそうだ。実現すれば、近鉄奈良/橿原神宮前−夢洲間などの直通運転が考えられ、行楽地同士を結ぶルートが構築できる。

近畿日本鉄道7000系
近畿日本鉄道7000系は東大阪生駒電鉄時代の1984年に登場し、不惑を迎えた[クリックで拡大]

 Osaka Metroにとって明るい話題は、中央線森ノ宮−森之宮新駅(仮称)間1.1kmの軌道事業の特許を取得したこと。既存の回送線を旅客線化するもので、2028年春の開業を予定している。現在、大阪城東部地区の街づくりを進めており、森之宮新駅は大阪経済のさらなる発展のカギを握る存在と言えよう。

 大阪市交通局の下で中央線が開業してから63年、今や高いポテンシャルを持った路線に成長し、今後が楽しみである。

プロフィール

岸田 法眼(きしだ ほうがん)

『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜てきされ、2007年にライターデビュー。以降はフリーのレイルウェイ・ライターとして鉄道の最前線に立つ他、好角家の一面も持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)、『大阪の地下鉄大研究』(天夢人刊)がある。また、『岸田法眼の旅、鉄道、プロ野球、大相撲などを幅広く語る』(フーミー刊)では、有料マガジンを毎月5回程度配信している。

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