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Osaka Metro新型車両400系の魅力と大阪発展のカギを握る中央線への期待鉄道大研究(1)(4/5 ページ)

大阪市交通局の民営化後、「Osaka Metro」の愛称を持つ大阪市高速電気軌道が初めて手掛けた新型車両の400系が2024年鉄道友の会ローレル賞に輝いた。宇宙船をイメージした斬新な前面デザインをはじめ、新機軸を満載した車両である。その魅力やこれからの中央線を探ってみた。

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ATOとUSB充電

 先頭車の車端部にATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)に関する機器室を設置。2024年度に中央線の大阪港−夢洲間(コスモスクエア−夢洲間は2025年1月19日〔日曜日〕に開業予定)で、GoA2.5(運転資格を持たない添乗員つきの自動運転)による自動運転の実証実験を予定しているという。

 Osaka MetroのATOは千日前線、長堀鶴見緑地線、ニュートラムの南港ポートタウン線で実施されている。千日前線、長堀鶴見緑地線はGoA2(半自動運転。列車の起動、乗降用ドアの扱いなどは運転士が行う)、南港ポートタウン線はGoA4(完全な自動運転)で、GoA2.5は400系が初めて。

 中央線は2024年3月からTASC(Train Automatic Stopping Controller:定位置停止支援装置)を導入。併せてホームドアの整備も急速に進められ、半年後の同年9月に完了した。GoA2.5に向けた態勢が整ったといえる。

 妻窓のある部分にはユーティリティースペースと称する、USB専用のモバイル電源つきカウンターを設けた。USBコンセントは一部の高速バスにあり、鉄道車両では初採用。地下鉄の通勤形電車にコンセントが設置されるのは東京メトロ丸ノ内線用の2000系以来、2例目である。

ユーティリティースペース左側の銀色の部分は蹴込み
ユーティリティースペース左側の銀色の部分は蹴込み[クリックで拡大]

 なお、Osaka Metroによると、30000A系の運転台にもATO出発ボタンを設けているが、GoA2.5の実証実験の予定はない他、谷町線に転属後もATO運転の予定はないという。

冷房装置のさらなる改良

 Osaka Metroが400系のセールスポイントとしてあげたのは、意外にも冷房である。大半の路線は、線路脇に敷設された第3軌条から直流750Vを集電するため、トンネルの断面積が狭い。このため、冷房装置は薄型のセミ集中式を各車両2台搭載している。

2代目20系
2代目20系の後年は“中央線の顔”として親しまれ、2024年3月20日(水曜日・春分の日)に引退[クリックで拡大]

 通勤形電車の冷房の多くは、天井の中央にラインフローファン、室内灯の内側にスリット式の吹き出し口を配している。Osaka Metroでは、大阪市交通局時代より2代目20系(注:初代20系は後に10系に改称)を皮切りに、10系後期車、新20系(デザインを一新した第3軌条各線用の車両)、66系に導入した。

2代目20系の車内
2代目20系の車内[クリックで拡大]

 30000系ではスリット式の吹き出し口を室内灯の外側に変更。400系では座席上に変わった。荷棚は30000系と同じパイプ式なので、荷物を載せない限り、着座すると冷風が頭上に降りてくるのだ。冷房能力は30000系と同じ1台につき25.6kW(2万2000kcal)ながら、より快適に、より涼しく過ごせるよう工夫をしており、地上区間における熱中症の予防にもつながる。

30000A系の車内
30000A系の車内[クリックで拡大]

 なお、クロスシートは先述通り荷棚がないので、スリット式の吹き出し口から冷風がダイレクトに届く。

400系の頭上(屋根)に冷房装置が搭載されている箇所
400系の頭上(屋根)に冷房装置が搭載されている箇所の一部は、スリット式の吹き出し口がないことを把握しておきたい[クリックで拡大]

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