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シャープの上半期は2022年以来の営業黒字、高付加価値路線が貢献製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

シャープは2025年3月期第2四半期の決算を発表した。

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 セグメント別の売上高が増加したのはスマートオフィスと、テレビやBlu-rayディスクレコーダー、携帯電話機などのセグメント「ユニバーサルネットワーク」だ。スマートオフィスではビジネスソリューションや法人向けPCが好調だった。また、米国でのシェア拡大や、日本国内でのコンビニエンスストア向けのプリントも伸びているという。高付加価値化を進めたことから利益面にも貢献した。

 セグメント別の営業利益は、白物家電や太陽電池のセグメントである「スマートライフ&エナジー」を除く4セグメントで増加した。スマートライフ&エナジーは欧州のエネルギーソリューション事業である太陽光パネルの市場低迷による在庫の評価減で一過性の費用21億円が発生したものの、家電を含めると利益は安定しているという。

 白物家電は、国内では美容家電や調理家電が伸長したものの、洗濯機や冷蔵庫などが伸びず減収。海外では高付加価値モデルへのシフトを進めた結果、冷蔵庫や洗濯機がASEANで、同じく調理家電が米国で好調で増収となっている。

 デバイス事業のうち、ディスプレイデバイスは車載向けが底堅く推移したものの、大型ディスプレイの生産を停止したことが響いた。エレクトロニックデバイスは、新規受注した品目や、2024年から量産を開始した車載用半導体レーザーが伸長し、利益面にも貢献したものの、センサーモジュールの顧客需要が変動したマイナス影響を受けて売り上げが減少した。


セグメント別の売上高の実績[クリックで拡大] 出所:シャープ

セグメント別の営業利益の実績[クリックで拡大] 出所:シャープ

「アセットライト化」の進捗は

 2024年度の構造改革の取り組みとして掲げていた「アセットライト化」の進捗についても説明した。通期の業績見通しに、これらのアセットライト化の効果は織り込まれていない。

 アセットライト化では、大型ディスプレイ事業の生産停止、中小型ディスプレイ事業での他社との協業や工場の最適化、カメラモジュール事業や半導体事業の他社への譲渡を計画。大型ディスプレイ事業はインドの有力企業への技術支援やAIデータセンター関連ビジネスなどへの事業転換を進める。

 アセットライト化を完了後、3年間で既存のブランド事業と新産業の“正のサイクル”を回せる新たな成長モデルを確立することを目指す。抑制していたブランド事業への投資を再拡大して収益の成長につなげるとともに、創出したキャッシュを先端技術に積極的に投じ、新産業でビジネスチャンスを獲得する。また、将来の成長をけん引するため本社機能の強化も進めていく計画だ。

 アセットライト化の中で、カメラモジュールと半導体については2025年3月期第3四半期(2024年10〜12月期)での譲渡契約の締結、2025年3月期第4四半期(2025年1〜3月期)でのクロージングに向けて鴻海精密工業(ホンハイ)と最終協議を詰めている。

 シャープ堺工場のある「グリーンフロント境」(大阪府堺市)は2024年度中の土地と建屋の譲渡契約締結に向けてソフトバンクと最終的な協議を行っている。KDDIとも2025年度中のAIデータセンターの本格稼働に合わせて条件を協議中だ。

 大型ディスプレイ事業は2025年3月期第3四半期(2024年10〜12月期)までに退職が完了し、2025年3月期第4四半期(2025年1〜3月期)から経費削減の効果が出てくるという。中小型ディスプレイ事業は、PCや携帯電話機向けは大きな伸長が期待できず、車載やゲーム、XR関連の拡大に注力する。

 アセットライト化についてシャープ 代表取締役 社長執行役員兼CEOの沖津雅浩氏は「今年(2024年)、きちっとやりきるのが私のミッションだ」とコメントした。

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