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機械加工とは何か、元工作機械エンジニアが改めて考える工作機械(3/3 ページ)

本稿では、元工作機械エンジニアが、機械加工とは何かについて改めて考えます。

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現在の潮流

 今後も継続的に労働者人口が減る日本社会において、高生産性の追求は永遠の課題とも言えます。それを受けて、機械加工を取り巻く潮流は、スマートファクトリー化工程集約型加工機の創出と感じています。

スマートファクトリー化

 ドイツ政府が提唱したインダストリー4.0をキーワードに、国内の製造業が一斉にIoT(モノのインターネット)化に動き出して久しいです。昨今ではAI(人工知能)をはじめとした知能化技術を取り入れた変位補正技術、振動抑制技術なども開発され、IT技術を駆使したスマートファクトリー構築に大きく動いています。

 今後は、単なる自社の主力工場にとどまらず、協力企業の1つ1つの生産設備に至るサプライチェーン全体でのスマート化が求められていると考えています。

工程集約型加工機の創出

 先に述べましたように、機械加工と言ってもさまざまな加工法が存在します。鉄(鋼)材料を例にとっても、鋳造、曲げ、溶接、切断、切削、研削、めっきなど多様な工程で取り扱われています。

 工程間のアイドル時間を減らすことで全体の生産性を高めることが可能であることは明らかで、工程集約ができる加工機が求められてきました。

 それが工程間を搬送ロボットなどで連動させる自動機や、旋削と切削を1台の工作機械で実現したターニングセンタ、粉末成形と切削の複合化を実現した金属3Dプリンタなどです。加工法で分類されてきた多くの加工機メーカーの独自技術開発や企業間の技術提携、M&Aを通じて、新たな複合加工技術の創出が期待されています。


ワークの着脱などを行う自立走行型ロボットも登場している(画像は前回のJIMTOFより)

まとめ

 2024年は偶数年で、米国のシカゴでIMTS(International Manufacturing Technology Show)、日本の東京ビッグサイトでJIMTOF(日本国際工作機械見本市)が開催される年です。ちなみに、奇数年の2025年には、欧州でEMO(Exposition Mondiale de la Machine-Outil)が開催されます。

 JIMTOFは日本の国内外の製造業に携わる人たちの最大のイベントともいえます。是非、会場に足を運び、機械加工をはじめとしたモノづくり技術に触れていただきたいと思います。きっと、新たな明日へのモノづくりの知恵が生まれると信じております。


著者紹介:

高桑 俊也(たかくわ としや)

高桑MT技術士事務所 代表

1959年名古屋市生まれ。大学卒業後、工作機械メーカーに入社し、主に工作機械の商品開発、設計業務に従事。機械、制御、ソフトの三位一体設計による機械本体構造、CNC制御技術、加工ソフトウェアを融合させた工作機械開発を実践してきた。定年退職後、技術コンサルタント業を起業し、モノづくりに携わる企業の課題解決に尽力している。加えて現在は、中小企業支援公的機関にて、モノづくり企業の経営相談、技術相談を通じて、販路開拓、価格転嫁、現場改善、社内教育などを支援している。


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