再生プラ製造で必要な廃プラの調合と調色を効率化する新システム、作業時間を半減:マテリアルズインフォマティクス
NECと丸喜産業は、AI(人工知能)により材料開発を加速するマテリアルズインフォマティクスの技術を応用し、再生プラスチックの製造を効率化する実証実験を2024年9月に行った。
NECと丸喜産業は2024年10月25日、AI(人工知能)により材料開発を加速するマテリアルズインフォマティクスの技術を応用し、再生プラスチックの製造を効率化する実証実験を同年9月に行ったと発表した。
その結果、再生プラスチック製造における廃プラスチックの配合と調色を経験が浅い作業員が行った場合、作業時間を半減できることを確かめた。
実証実験の概要
今回の実証実験では丸喜産業が創業以来から培ってきた配合データを用いた。具体的にはそのデータをベースに、NECが有する、バイオプラスチックなどの素材開発の知見とマテリアルズインフォマティクスの技術を活用して、廃プラスチックの配合案と調色案を提示するシステムを開発した。
同システムは、希望の性能や色を入力することで、変動する廃プラスチックの在庫に合わせて最適な案を提示できる。
実証実験では、同システムが提示した配合案と調色案が実用に十分な精度であることを確認した。同システムを用いることで、廃プラスチックの配合検討/決定と、調色用の顔料の検討、試作、決定にかかる時間を、知識や経験が豊富な熟練作業員では約33%短縮し、経験の浅い作業員では約50%短縮可能なことも確かめた。これにより、プラスチックリサイクル現場における熟練作業員の知識継承や人手不足解消、在庫管理などの課題解決に貢献することが分かった。
今後の展望
両社は実証実験の成果を基に、再生プラスチックの効率的な製造を実現するソリューションの開発に向けて協議を開始した。加えて、プラスチックリサイクルに携わる企業に対してコンサルティングを起点としたソリューションを2025年に提供することを目標として掲げている。
また、再生プラスチックの製造に関する情報の一部を開示可能にすることで、AIによる再生プラスチック素材の高付加価値化を生み出し、活用範囲の拡大に貢献していく考えだ。
実証実験実施の背景
環境汚染や自然破壊の原因となる廃プラスチックの削減に向けて、さまざまな取り組みが世界中で行われている。日本では国の方針によりプラスチックの3R(リユース、リデュース、リサイクル)や適正な処理が進められているが、大半は焼却/埋め立てにより処分されている。
プラスチックのリサイクル工程は、廃プラスチックの回収/選別に始まり、粉砕、配合、調色、造粒工程などを経て、ペレットと呼ばれる製品に加工し出荷される。中でも配合工程では、強度、加熱流動性、色など顧客の求める性能と量に応じて、毎日受け入れる少量多品種の廃プラスチックから都度最適な配合を決定する必要があり、熟練作業員の知識や経験が特に求められている。
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