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JSRや出光はマテリアルズインフォマティクスのプロ人材をどのように育成したのかマテリアルズインフォマティクス最前線(4)(1/3 ページ)

本連載ではマテリアルズインフォマティクスに関する最新の取り組みを取り上げる。第4回は、国内化学メーカー向けにマテリアルズインフォマティクスのコンサルティング実績を積み重ねてきたEnthoughtを紹介する。

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 国内のメーカーでは、製品のニーズの多様化や開発期間短縮の影響で、扱う素材の高品質化と開発期間の短縮が求められている他、海外拠点でも国内製品と同様の品質を実現することが必要となっている。しかし、研究者や技術者のノウハウに依存したこれまでの手法では対応が難しい状況だ。

 解決策の1つとして、材料開発の速度と精度を向上させるために、マテリアルズインフォマティクス(MI)やプロセスインフォマティクス(PI)を活用する企業が増えつつある。しかしながら、MIを使用するためには、対象素材の開発に適したシステムやAI(人工知能)、情報科学の知見を持つ人材の開発などが必要となる。これらの開発は手間となりMI導入の障壁となっている。解決策として、MIのコンサルティング会社の活用が注目されている。

 そこで、本連載の第4回で取り上げるのはMIのコンサルティングサービスを提供するEnthought(エンソート)だ。同社では、MIの導入を加速するプログラムとして、R&Dにおける重要課題の抽出を行うコンサルティングや短期的に投資収益率を改善するAIアプリの共同作成、自走するための人材育成プログラムを提供している。

 同社 MIマネージャー インストラクター 兼 MIメンターのマイケル・ハイバー(Michael Heiber)氏に、日本企業の素材開発の課題、MIを利用するメリット、同社が提供するコンサルティングサービスなどについて聞いた。

社員が化学の専門知識を持ち素材開発の課題を見抜く

Enthought MIマネージャー インストラクター 兼 MIメンター 博士のマイケル・ハイバー氏
Enthought MIマネージャー インストラクター 兼 MIメンター 博士のマイケル・ハイバー氏[クリックで拡大]

MONOist Enthoughtはどういった企業なのでしょうか。

マイケル・ハイバー氏(以下、ハイバー氏) Enthoughtは2001年に米国テキサス州のオースティンで創業したソフトウェア会社で、企業向け伴走型のDX(デジタルトランスフォーメーション)/MIサービスを提供している。当社の大きな特徴は、社員のうち85%が、科学、IT、技術、数学のいずれかで修士以上を修了し、75%が博士号を取得した人材であることだ(編注:ハイバー氏も博士号取得者)。社員の多くが、素材/化学や自然科学などの知見を持ち用語などを分かっているため、どのようなメーカーから素材開発について相談を受けても課題を見抜き、的確にアドバイスが行える。

 さらに、当社のテクニカルチームは、化学および自然科学の専門知識だけでなく、デジタル、AI、アプリの知見も持つため、対象企業のテクノロジー、プロセス、人材の変革を後押しし、デジタルトランスフォーメーションの実現を加速できる。

Enthoughtとは
Enthoughtとは[クリックで拡大] 出所:Enthought
サイエンスとテクノロジーの融合でDXを実現
サイエンスとテクノロジーの融合でDXを実現[クリックで拡大] 出所:Enthought

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