高濃度アルコールやアルカリ性の内容物を充填できるアルミ積層構成フィルムを開発:材料技術
共同印刷は、アルコールやアルカリ成分の浸透によってデラミネーションを起こさず、安全に高濃度アルコールやアルカリ性内容物を充填できるアルミ積層構成フィルムを開発した。
共同印刷は2024年10月22日、アルコールやアルカリ成分の浸透によってデラミネーション(層間剥離)を起こさず、安全に高濃度アルコールやアルカリ性内容物を充填できるアルミ積層構成フィルムを開発し、提供を開始したと発表した。
毛染め液などを安全にパウチ包装可能
今回のアルミ積層構成フィルムは、アルミ積層部のラミネート強度の低下を抑える独自技術を駆使することで、80%以上の高濃度アルコールとアルカリへの耐性を備えた包材とした。同製品を使用することで、高濃度アルコール成分を含む消毒液や防虫駆除剤、アルカリ性の洗剤、毛染め液などを安全にパウチ包装することが可能となる。
パウチ包装はボトル容器に比べてプラスチックの使用量を減らせる他、形状の自由度が高いため、用途やユーザビリティに配慮したカスタマイズも行える。
今後、同社は高濃度アルコールやアルカリ充填が可能なアルミ積層構成フィルムを、日用品や衛生薬品、ヘアケア製品を扱うトイレタリーメーカーなどに向けて販売していく考えだ。用途としては、「ボトル洗剤 詰め替え用」「使い捨て清掃シート 個装」「アルコールスプレー 詰め替え用」「アルコール飲料(飲みきりサイズ)」を想定している。
開発の背景
パウチ包装は、「使い切り」「携帯用少量包装」「業務用大容量包装」など、多様な生活者ニーズに柔軟に対応する。しかし、一般的な材料を用いたアルミ積層構成フィルムは、高濃度アルコールやアルカリ性の内容物を入れると成分の浸透によってデラミネーションが起こりやすい特性があり、パウチ包装には適さなかった。そこで、共同印刷は今回のアルミ積層構成フィルムを開発した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ポリオレフィン単一構成の液体向けスタンディングパウチを開発
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANは、ポリオレフィン単一構成でリサイクル適性を向上させた、液体用途向けスタンディングパウチを開発したと発表した。 - TOPPANがオールPEのモノマテリアルスタンディングパウチを開発
TOPPANは、使用するプラスチックフィルムを、全てポリエチレン(PE)ベースのフィルムとした液体用途向け詰替えパウチを開発した。 - 印刷済みの軟包材OPPフィルムを水平リサイクルしたパウチを開発
TOPPANは、アールエム東セロや三井化学とともに、量産化が可能なリサイクル二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを開発した。 - 電子レンジで加熱でき開封後に食器となるパウチを開発
DNP電子レンジで加熱調理でき開封後にそのまま食器として使えるパウチ「アンタッチスルー 喫食タイプ」を開発した。 - 再生材使用の詰め替えパックを製品化、花王が23年のごみ削減活動を報告
花王は、プラスチック包装容器の削減/再資源化の取り組みについて2023年の進捗を公表し、水平リサイクルにより再生材料を一部使用した詰め替えパックを初めて製品化したことなどを明らかにした。