印刷済みの軟包材OPPフィルムを水平リサイクルしたパウチを開発:リサイクルニュース
TOPPANは、アールエム東セロや三井化学とともに、量産化が可能なリサイクル二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを開発した。
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANは2024年10月10日、アールエム東セロや三井化学とともに、量産化が可能なリサイクル二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを開発し、このフィルムを用いたパウチのサンプル提供を同月から開始したと発表した。なお、3社は2023年8月から、印刷済みのOPPフィルムを元の軟包材フィルムに水平リサイクルする共同実証試験を行っていた。
今回のリサイクルOPPフィルムの製造工程に関して、TOPPANで発生した印刷後の廃棄フィルムを回収し、三井化学名古屋工場(名古屋市南区)でインキを除去してペレット化し、アールエム東セロにてフィルム化する。再生したフィルムはTOPPANのパッケージ工場において量産検証を行い、量産加工適性(印刷、ラミネート、製袋)があることを確認した。併せて、パウチとしての物性評価も行い、パッケージとしての機能を確認している。
今後、TOPPAN、アールエム東セロ、三井化学の3社は、軟包材フィルムの水平リサイクルの普及/発展を目指し、2025年度の社会実装を目指す。
製品開発の背景
日本政府が提唱するプラスチック資源循環戦略では、プラスチック資源について、「2025年までにリユース/リサイクルが可能な材質構成に置き換えること」「2030年までに容器包装の6割をリユース/リサイクルすること」「プラスチック資源の再生利用を倍増すること」などのマイルストーンが策定している。2025年を重要な起点として、関連する企業は2030年に向けて、リユース/リサイクルの取り組みを拡大させて行く必要がある状況だ。
そこで、三井化学は2022年5月に、軟包材コンバーターで発生する廃棄フィルムを回収し、インキを除去してペレット化し、軟包材フィルムに再生する取り組みである「RePLAYER-Renewable Plastics Layer System-」を開始した。
同年12月からは、TOPPAN、アールエム東セロ、三井化学の3社により、共同で今回の実証試験の基礎検討を開始。2023年度には、本格的な共同実証試験を開始し、印刷やラミネート、製袋に関する量産加工適性を確認するとともに、シール強度や引き裂き強度などパウチとしての物性条件をクリアしたことから、パウチサンプルとして提供を開始するに至った。
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