その業務はなぜ大変? 実際に働いて開発した業務改善ソリューション:スマートリテール(2/2 ページ)
Preferred Networksはスーパーマーケットなどチェーンストア向けの業務改善ソリューション「MiseMise(ミセミセ)」を開発し、提供を開始した。
スーパーの仕事をどう変えるか
ミセミセは、AIによる分析とロボットによる人手の補完を行えるように、「品出し」「AI値引き」「棚割」「ロボット」「分析」といったソリューションで構成されている。
品出しのソリューションは、バックルームにある商品をデータ化する。店員は欠品商品の値札を業務端末でスキャンするだけで在庫の場所を把握でき、在庫置き場からの商品ピッキングにかかる時間を半分に短縮する。また、店頭の品切れ防止により売り上げが4.2%増加した例や、余剰在庫を20%削減した例があるという。
品出しは一般的に、商品棚を見て欠品があるとその商品名を手書きでメモしていく作業から始まる。欠品のチェックだけでまとまった時間が必要だ。欠品している商品をバックルームに取りに行くが、店舗に納品された商品はランダムにカートに積まれているため、探すのは難しい。熟練者は納品された商品をジャンルごとに分類してカートに積み替えるが、飲料などは1ケースでも重いため、ジャンルごとの積み替えも力のいる作業だ。
品出しのソリューションでは、欠品商品の値札をスキャンするだけで品出しが必要な商品のリストを作成できる。また、後述するロボットが検出した欠品もリストに反映できる。商品を探す手間がかかっていたことについては、納品されたときに商品を乗せたカートに台車番号のIDをつけることで、どのカートに何箱の在庫があるかを把握できるようにした。在庫から商品を取り出した際に業務端末を操作すると、在庫の減少も反映される。
何をどれくらい品出しで運んだのかがログとしてデータ化されることで、過剰な在庫がないか、適切に人員が割り当てられているかなどを検討できるようになるという。補充の多い商品は陳列スペースを大きくすることで補充の頻度を減らすなどの効率化が図れる。また、補充されなかった商品は滞留在庫として識別することができ、発注の見直しや陳列の変更など在庫削減につなげられる。
棚割のソリューションは、商品部での棚割の作成や各店舗への配信から分析まで、全ての棚割に関わる業務を組織横断で行えるようにする。販売実績と棚割データを組み合わせた分析や、バイヤーの方針を加味したAIの棚割提案により、売り上げを向上させる棚割の実現をサポートする。
棚割のソリューションと連携するロボットも用意した。自律移動ロボットが店内を移動しながら商品棚を撮影し、欠品や品薄を検知する。その検知結果に基づいて品出しをタイムリーに行うことが可能になる。棚割の実施状況を他のソリューションにも連携させることができる。値札の付け間違いのチェックや来店客への売り場の案内、窃盗抑止や商品プロモーションなどさまざまな使い方にも対応する。
すでに実際の店舗でロボットを導入し、営業時間内にロボットが店内で動き回っているが、来店客には受け入れられており、イタズラやトラブルなどは発生していないという。
AI値引きのソリューションは、消費期限の短い生鮮食品や総菜を売り切るために最適な値引き額を提示する。AIが、天気などの外部情報の他、生鮮食品や総菜の在庫、他の商品との需要の食い合いなどを予測し、経験に頼らずに値引きを判断できるようにする。値引きし過ぎによる売り上げの損失を20%改善した効果が出ているという。
同ソリューションでは、総菜のバーコードを業務端末で読み込み、残っている総菜の個数を画面上で選べば割引率が決まり、シールが発行される。それを商品に貼り付けるだけで完了する。「これはよく売れるのであまり値引きしない」などの経験に基づく判断が不要になる。
午前中に行われる総菜の調理と、午後以降の値引きはそれぞれ別の担当者が行う。最適に値引きして売り切ってもらえることが分かれば、調理担当も自信を持って総菜を作る量を決められる。売れ残りを懸念して調理量を抑える必要がなくなるというメリットもある。
これらのソリューションのデータを統括し、店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)に必要な情報を一元管理するツールも提供する。作業が割り当て通りに実行されているか、滞留在庫量や品切れの頻度、品出しが必要になる頻度、店舗間の作業効率などを分析するダッシュボード機能も備える。
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