AI活用の見積もり支援サービスも、シチズンマシナリーが進めるワークフロー改革:工作機械(2/2 ページ)
シチズンマシナリーは軽井沢本社(長野県御代田町)で記者会見を開き、「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2024)」に出展する新たな機種やソリューションを発表した。
シチズンがAI活用の見積もり支援サービスを展開する理由
周辺サービスとしては「シチズン見積支援サービス」を披露する。
これは、図面データをドラッグ&ドロップでシステムに取り込むと、AI(人工知能)を活用して蓄積された過去の図面データから類似図面を見つけ、それにひもづいた当時の見積もり情報を表示し、それを流用や修正することで新規の図面の見積もり作業を支援するものだ。パートナー企業と共同で開発した。
「角物や板金の見積もり支援サービスは既に多いが、旋盤でフィットしたものを探していた。われわれの主要ユーザーである機械台数100台以下のような企業では、見積もりの作業が社長や特定の担当者に属人化しており、その人が辞めてしまうと過去の見積もりデータもなくなってしまう他、1週間の半分以上は見積もりを作ってるという声も多い。そういった負担を少しでも軽減できないかと考えている」(露崎氏)
2025年度のリリースを予定している。当初は2D図面のみだが、将来的には3D図面への対応も検討している。
主軸のスピンドルにおける振動の加速度などを診断して異常を検出する「主軸診断システム」はスーツケースのような箱型のシステムをつないで既存機を診断するBox型システムと、定期的に自動でセンシングする実機搭載型システムの2種類を展開する。JIMTOF 2024は参考出展となり、販売は2025年度の見込みだ。
GNシリーズを除くMiyanoブランドの全モデルに対応する。今後はCincomブランドやGNシリーズへの対応も予定している。
「CIToolingSystem」は切削工具の段取り時間を大幅に削減する。ポリゴンテーパーシャンクが付いた先端の刃のみを交換することで、バイトの交換に比べて作業時間が80%短縮できる。2024年11月から販売する。
シチズングループとしては2024年度は売上高3100億円を目標としている。コア事業の工作機械事業は、時計事業の1715億円に次ぐ、730億円の売り上げを目指している。また、現中期経営計画(2022〜2024年)では「売上高1000億円に向けた事業基盤の構築」を掲げており、本社工場や海外拠点への投資を継続して生産能力の強化を図っている。
直近では、ベトナム工場に加工棟を新設して鋳物の加工能力を2倍に増強することを発表している。新たな加工棟の完成は2025年8月を予定している。
「現状の市場環境としては、国内、海外ともにユーザーの機械の稼働率は高い状態を維持しているが、設備投資に関してはタイミングを見ている状況が続いている。JIMTOFは、ユーザーが今後の設備投資の考え方や方向性を吟味する場所でもあると思っている。われわれとしては、ユーザーがまだ気づいていないような、今後の工場運営におけるソリューションを提示して、実際に設備投資をするタイミングで当社を選択してもらえるようにしたい」(シチズンマシナリー 代表取締役社長の伊奈秀雄氏)
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