EVシフトでSUBARUが描く次世代のモノづくりの在り方:電動化(3/3 ページ)
SUBARUが日立オートメーションやJR Automation Technologiesとともに次世代モノづくりの在り方や構想について語った。
テクノロジーを受容するリーダーが必要
AIなどテクノロジーを活用するには、受容するマインドも重要だと日立オートメーションの新井氏は語った。テクノロジーを受容できる人がリーダーになっていくという。
「製造業各社の生産技術は根拠を積み重ね、検証を重ねて、石橋をたたき割るくらいに突き詰めてやってきた。AIにいきなり任せるのは抵抗があり、AIが出してきた結果を検証するのも簡単ではない。なかなか受け入れがたいという声を多く聞いている。熟練者に代わって若手に提案するような使い方でも、最初はAIの提案が正しいかを検証する必要があるが、徐々にAIに任せる部分を拡大していき、将来的には人とAIのそれぞれから学びがあるような『マルチバースメディエーション』と呼ばれる相互作用が働く世界にしていきたい」(新井氏)
また、新井氏は「ラインビルダーとしてスバルを支えていくためにも、新しいモノづくりの在り方の中で価値創出を目指していきたい。新たな技術要素が入ってきているが、顧客から要望されたときにきちんと受け止められる状態を作っていきたい」と抱負を語った。
JR Automation Technologiesのデグラーフ氏は、トランザクションからトランスフォーメーションへの変革を支援する考えを示した。トランザクションとは従来のやり方で、作業ごとに分断し個別に工程が開発される状態を指す。これに対し「トランスフォーメーションでは、作業現場全体のエコシステムを見て、どういった経過があるのか、どこで技術や能力を活用するかを考えていく。投資して終わるのではなく、成果を再利用したり柔軟性を高めて複数の製品を扱ったりできるようにする」(デグラーフ氏)。
JR Automation Technologiesはさまざまな業界を見て学びながら顧客の問題解決策を見いだせることや、複数のソリューションを展開できることが強みだという。
先行きが見えないからこそ柔軟性や拡張性が不可欠
スバルの渡邊氏は次のように語って締めくくった。「先行きが読めない中、柔軟性や拡張性を持った取り組みをやっていかなければならない。われわれの事業規模では、決め打ちでやることが大きなダメージになる可能性があるためだ。新たな工場のコンセプトは、人もAIもソフトウェアも成長し続ける工場だ。それをいかにEVの新工場に取り込んでいけるかが、将来の競争力にもつながると信じている。競争が激しい中で勝って行くには世界を見て、常に考えなければならない。どこと一緒にやるかが重要だ。北米ではJR Automation Technologiesと、日本では日立オートメーションとともに最先端の工場の在り方を考えている。単純にプロジェクト単位で切り分けて依頼するような従来の発想ではいい物はなかなか生まれてこないと改めて実感した」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スバルはEVをトヨタ自動車と共同開発、日米での相互供給も
SUBARUは2023年6月からの新体制での取り組みのアップデートについて発表した。 - 自動車メーカー3社でエンジンの重要性を宣言、仕入先へのメッセージ
トヨタ自動車とSUBARU、マツダはカーボンニュートラルの実現と電動化に対応したエンジン開発の方針を発表した。 - スバルが米国でのEV生産を決定、2028年末までに8車種展開
SUBARUは電動車の投入計画のアップデートなど新体制での経営方針を発表した。 - マルチパスウェイ、EVのCO2削減、車電分離……クルマの脱炭素の形は
トヨタ自動車の中嶋裕樹氏がマルチパスウェイの意義、EVが製造時に排出するCO2の削減に向けたさまざまなアプローチのアイデア、バッテリーのリユースやリサイクルに向けた“車電分離”の提案など、自動車のカーボンニュートラルについて幅広く語った。 - 日立がロボティクスSIの協創拠点を東西に開設、プロダクトとOTの実物を体感可能
日立製作所と日立オートメーションは、製造や物流の分野向けのロボティクスSIを中核とした自動化/最適化の協創拠点「Automation Square HANEDA」を報道陣に公開。羽田空港に隣接する同所と併せて、京都市内に「Automation Square KYOTO」も開設している。 - 日立オートメーションとKyoto Roboticsを合併、日立がロボティクスSI事業を強化
日立製作所は、インダストリアルデジタルビジネスユニットのグループ会社である日立オートメーションとKyoto Roboticsを2023年4月1日付で合併すると発表した。 - 日立がロボティクスSI事業のさらなる強化へ、「日立オートメーション」を設立
日立製作所と日立産機システムは、産業用ロボットを活用してラインビルディングを行う「ロボティクスSI事業」のさらなる強化に向けて2022年4月1日付で「株式会社日立オートメーション」を設立すると発表した。これにより、日本国内とASEANにおけるロボティクスSI事業の成長を加速する。