日立がロボティクスSI事業のさらなる強化へ、「日立オートメーション」を設立:FAニュース
日立製作所と日立産機システムは、産業用ロボットを活用してラインビルディングを行う「ロボティクスSI事業」のさらなる強化に向けて2022年4月1日付で「株式会社日立オートメーション」を設立すると発表した。これにより、日本国内とASEANにおけるロボティクスSI事業の成長を加速する。
日立製作所(以下、日立)と日立産機システムは2022年1月27日、日立のインダストリセクターが注力している、産業用ロボットを活用してラインビルディングを行う「ロボティクスSI事業」のさらなる強化に向けて同年4月1日付で「株式会社日立オートメーション」を設立すると発表した。これにより、日本国内とASEANにおけるロボティクスSI事業の成長を加速する。
日立オートメーションの母体となるのは、日立産機システムの各種製造業向け組立・搬送ラインのロボティクスSI事業と、2019年3月に買収を発表したケーイーシーである。具体的には、日立産機システムの子会社で自動車向けを中心にロボティクスSI事業を手掛けるケーイーシーに、会社分割で日立産機システムのロボティクスSI事業を移管する。その上で、ケーイーシーの株式を日立産機システムから日立の産業・流通ビジネスユニットに移管し、同時に商号を日立オートメーションに変更する。
日立オートメーションの本社は、日立の産業・流通ビジネスユニットの中核拠点と同じ東京都千代田区に置く。代表取締役社長には、日立 産業・流通ビジネスユニットでソリューション&サービス事業部長を務める佐竹英夫氏が就任する。資本金は3億円、従業員数は約200人で、2022年度の売上高見通しは約100億円となっている。現在のケーイーシーの従業員数が110人、2019年度の売上高が約52億円なので、日立オートメーションの発足によって規模がほぼ倍増する形だ。
日立の産業・流通ビジネスユニットは、2019年4月に米国のJRオートメーションの買収を発表し、2021年4月には3次元ビジョンセンサーで知られるKyoto Roboticsを傘下に収めるなどロボティクスSI事業の強化に努めてきた。今回の日立オートメーションの設立を契機とする事業再編によって、ロボティクスSI事業を日立の産業・流通ビジネスユニットに集約するとともに、北米のロボティクスSI事業で高い実績を持つJRオートメーションとの連携やデジタル技術を融合したソリューションの提案が可能になる。また、産業・流通ビジネスユニットは、製造業向けにデジタルソリューション群「Lumada」の展開を推進していることから、ロボティクスSI事業をはじめとするOT(制御技術)と、LumadaなどのITをワンストップで提供できる体制となり、インテリジェント化する製造現場から経営までをデジタルでつなぎ全体最適化を図る「トータルシームレスソリューション」の展開を加速させられる。
日立のロボティクスSI事業としても、北米から欧州を中心に事業展開するJRオートメーションに加え、日本とASEANで事業展開を強化する日立オートメーションとKyoto Roboticsによってグローバルリーダーを目指していくとしている。
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