ブリヂストンのゴム人工筋肉ロボットハンドが進化、吸着機構の5本目の指を追加:国際物流総合展2024
ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズは、「国際物流総合展2024」において、同社のゴム人工筋肉を用いたロボットハンド「TETOTE」に吸着機構を新たに追加した「TETOTE and」を公開した。
ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズは、「国際物流総合展2024」(2024年9月10〜13日、東京ビッグサイト)において、同社のゴム人工筋肉(ラバーアクチュエータ)を用いたロボットハンド「TETOTE」に吸着機構を新たに追加した「TETOTE and」を公開した。
TETOTEは、指に相当する4本のゴム人工筋肉を使って把持を行うロボットハンドだ。ゴムの力を生かした柔らかさにより、さまざまな形状や硬さ、素材の対象物を優しくしっかりとつかむことができることを特徴としている。「TETOTEを物流業界に提案する中で課題になったのが、トレーに隙間なく詰め込まれた箱のピッキングだった」(ソフトロボティクス ベンチャーズの説明員)。この場合、TETOTEの指を差し込む隙間がないため、対象物である箱を把持することができない。この他にもTETOTEでは、台紙の上に置いた商品を透明プラスチックで覆ったブリスターの把持についても課題があった。
そこで、日用品を多く取り扱う物流業界を代表する共創パートナーと共同開発したのがTETOTE andである。4本のゴム人工筋肉の指を跳ね上げて広げられる構造にするとともに、中央部に5本目の指となる吸着機構を追加することで、把持式と吸着式の両方の強みを生かせるようになっている。課題だった箱やブリスターのピッキングでは、指を広げた状態で対象物を吸着して持ち上げてから4本の指で把持することで、対象物の振れ止めを行いながら安定的に搬送できるようになった。
TETOTE andでは、箱やブリスターに加え、シリンダー、チューブ、バッグ、パウチなど日用品の主要パッケージ全てに対応するとともに、それらのピースピッキングを高速かつ安定して行える。「仕様上の性能はTETOTEと同じく、可搬重量が2k〜3kg、処理能力が1時間当たり800〜1000ピースだが、どのような対象物でも安定してこの性能を発揮できる点が異なる」(同説明員)という。
また、TETOTEと組み合わせて使うロボットビジョンについても「TETOTE no NAKAMA」として参考展示を行った。今回用いたのは、エウレカロボティクスが開発した万単位以上のSKUを扱う日用品の物流倉庫などが対象となるマスタレスのロボットビジョンで、保管用トレーから搬送用トレーへの入れ替えなどの1次ピッキング、搬送用トレーから商品をコンベヤーに置くソーター投入などに適している。展示デモでは、トレーの端部にある商品をTETOTEで把持しやすくするために、TETOTEがトレーをつかんで傾けることで商品を端部からずらすなどの動作を行っていた。
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