AI技術活用の自律移動ロボが製造現場の搬送を自動化、PLCとの連携も:第3回 ロボデックス[秋]
Preferred Roboticsは「第3回 Factory Innovation Week[秋]」の構成展の1つである「第3回 ロボデックス[秋]」において、同社の法人向け自律移動ロボット「カチャカプロ」によるデモンストレーションを披露した。
Preferred Roboticsは「第3回 Factory Innovation Week[秋]」(2024年9月4〜6日、幕張メッセ)の構成展の1つである「第3回 ロボデックス[秋]」において、同社の法人向け自律移動ロボット「カチャカプロ」によるデモンストレーションを披露した。
最大30kgまでのけん引力を持ち、最小550mm幅の通路を走行
Preferred Roboticsは深層学習(ディープラーニング)などのAI(人工知能)開発を進めるPreferred Networksの子会社として2021年に設立され、自律移動ロボットの研究、開発などを行っている。2023年に、AI技術を搭載し、人の指示で専用家具を動かす家庭用自律移動ロボット「カチャカ」を発売。2024年からは、法人向けに機能を強化したカチャカプロを販売している。
カチャカプロもカチャカと同様にAI技術を搭載し、作業者の指示でキャスター付きの「カチャカファニチャー」とドッキングして指定の場所まで移動させる。
センサーやカメラからの情報を基に、自己位置推定と周辺地図作成を行うSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)方式を採用しており、磁気テープや2次元コードの設置は不用だ。カチャカより長い検出距離12mのLiDAR(Light Detection And Ranging)により、製造現場などの広い空間でも自律移動が可能となっている。最大30kgまでのけん引力を持ち、最小550mm幅の通路を走行できるなど、工場内物流の自動化に貢献する。
今回は、床や壁に付けられた2次元コードを内蔵のRGBカメラで読み込むことで、±10mmの停止位置精度を実現する機能も紹介した。
カチャカAPIを使うことで、外部機器や上位システムと連携した動きを実現する。ブースでもPLC(プログラマブルロジックコントローラー)との連携デモを行った。
スイッチを押してコップが置かれたコンベヤーが動き出し、カチャカプロの上に置かれたカゴに全て入ったのをPLCが検知すると、PLCとつながったカチャカハブにトリガー信号を発し、カチャカハブプラスから無線でカチャカプロに移動指示が飛ぶという構成だ。
もともと、カチャカハブはカチャカボタンと連携してカチャカを操作するものだったが、今回、I/Oまでセットにしたカチャカハブプラスとして披露した。入力端子は6つあり、それぞれにタスクを割り当てることができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AI家具移動ロボットが日常生活“カイゼン”、日々の数歩の削減で何が変わるか
本連載では「ロボット×DX」をテーマに、さまざまな領域でのロボットを活用したDXの取り組みを紹介する。第7回はPreferred Roboticsが開発した、家庭用自律移動ロボット「カチャカ(Kachaka)」について、同社で代表取締役 CEOを務める礒部達氏に取材した。 - 検出距離12mのLiDARを搭載する法人向け自律移動ロボットを発売
Preferred Roboticsは、法人向けに機能とサービスを強化した自律移動ロボット「カチャカプロ」を発売した。最大30kgのけん引力に高度なAI技術、検出距離12mのLiDARを備えており、広い現場でも自律移動ができる。 - 自律移動ロボットを市販のボタンで操作できるソフトウェアの提供を開始
Preferred Roboticsは、自律移動ロボット「カチャカ」の操作用ソフトウェア「カチャカボタンハブ」を発表した。マイコンモジュール「M5Stack」にインストールすれば、市販のボタンからカチャカに操作指示が出せる。 - AGV活用で工作機械の組み立てを効率化、中村留は月480時間をいかに削減したのか
中村留精密工業が新たに開設した工場において、AGV(無人搬送車)を活用した生産システムが稼働を始めた。運搬に関わる工数を月間480時間削減したという現場を訪ねた。 - エレベーターでAMRが移動、自動化で1日当たり47kmの搬送を削減したOKI鶴岡工場
自動化が進む工場内作業において、いまだに人手で行われることが多く“取り残された領域”となっているのが搬送作業である。この工程間搬送の自動化を推進しているのが、高性能のプリント配線板の設計/製造を行っているOKIサーキットテクノロジー(以下、OTC)の鶴岡事業所である。同事業所での取り組みを紹介する。 - 米の無人フォークリフトとAMRが重量物搬送デモ、MESとの連携も披露
Rockwell Automation(ロックウェル・オートメーション)は年次イベント「Automation Fair 2023」において、AMRやAGF(無人自動フォークリフト)を活用したデモンストレーションを披露した。