日立が注力するEVバリューチェーンが本格始動、生成AIの活用事例も:人工知能ニュース
日立製作所は、プライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN」において、同社が提唱するEVバリューチェーンに関する展示を行った。
日立製作所(以下、日立)は、プライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN」(2024年9月4〜5日、東京国際フォーラム)において、同社が提唱するEV(電気自動車)バリューチェーンに関する展示を行った。
同社のEVバリューチェーンは、EVそのものや、EVからリユースされるバッテリーパックなどを活用することでカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに貢献する取り組みとなる。前回の「Hitachi Social Innovation Forum 2023 JAPAN」でも大きなスペースを使って展示が行われた。
例えば、日立ビルシステムの「Hybrid-PCS」はEVからの直流電力をエレベーターなどのビル設備を動かす交流電力に変換する機能を備えており、平時の電力利用効率の向上や災害時のバックアップ電源などにEVを活用できる。また、日立ハイテクは、劣化状況を含めた現在のリチウムイオン電池の状態を示すSOH(State of Health)を高精度に推定する電池劣化診断などが可能なリチウムイオン電池ライフサイクルマネジメントソリューションを開発している。
今回は、Hybrid-PCSで動かせるビル設備としてエレベーターに次いで追加された給水ポンプへの生成AI(人工知能)の応用例に関する参考展示を行った。Hybrid-PCSに対応する日立産機システムの給水ポンプ「IJ3」は、IoT(モノのインターネット)対応で遠隔監視を行う機能「FitLiveサービス」を標準搭載している。このIoTデータとの連携により、給水ポンプの運転状況の確認や災害などの停電で停止した場合の復旧方法などについて生成AIが回答するという内容になっている。
なお、Hybrid-PCSは2023年7月から国内で販売されているが、2024年末に大阪府内の新築マンションへの導入が決まったという。「EVでエレベーターを動かすことも含めて先進的な事例になるだろう。これをきっかけに今ある引き合いを正式導入につなげていきたい」(日立の説明員)という。
EVバリューチェーンの新たな展示となったのが、物流高度化サービス群「Hitachi Digital Solution for Logistics(HDSL)」をベースに開発した、EV配送を支援する配送/充電計画ソリューションである。
小売業などを中心にカーボンニュートラル対応に向けて配送トラックを内燃機関車からEVに置き換える取り組みが進んでいる。ただし、内燃機関車のトラックの場合には燃料補給は当日の配送業務を全て終えてから行えばいいのに対し、相対的に走行可能距離が短いEVトラックは配送業務の途中で充電を行う必要が出てくる。
開発中のソリューションでは、配送業務の計画を最適化するHDSLの技術を応用して、EVトラックへの充電制御や拠点での充電計画、配送経路途中にある急速充電器を用いた経路充電計画によって、配送車両を全てEVトラックに置き換えられるようになるという。「現在先行ユーザーによる実証実験の段階に入っており、2025年3月末には正式リリースする予定だ」(同社の説明員)としている。
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