日立の“Astemo”じゃないEV関連ソリューション、出力500kWの超急速充電器も:電動化(1/2 ページ)
日立製作所は、プライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2023 JAPAN」において充電インフラなどのEV関連ソリューションを展示した。
日立製作所(以下、日立)は、プライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2023 JAPAN」(2023年9月20〜21日、東京ビッグサイト)において、充電インフラなどのEV(電気自動車)関連ソリューションを展示した。同社グループ傘下で車載システムサプライヤーの日立Astemoは同月中に非連結化されるが、グローバルで急速に拡大するEV市場を対象に充電インフラをはじめとするEV関連ソリューションの事業展開は緩めることなく加速していく方針である。
日立インダストリアルプロダクツが展示したのが、20台同時の急速充電や250kW/500kWという超急速充電に対応する「大容量マルチポートEVチャージャ」である。特徴は「マルチポート」「超急速充電」「V2X(Vehicle to X)」の3つ。マルチポートでは、最大20口のポートから、90kW×5、25kW×20、250kW×2など合計500kWの範囲内でさまざまな出力が可能であり、それらを同時に接続して充電できる。また、グローバルで需要が拡大しつつある超急速充電に対応するため、日本や中国の標準規格となっているCHAdeMO3.0(ChaoJi2)に準拠している。そして、超急速充電と同じくCHAdeMOが標準規格に取り入れているV2Xに対応することで、ビルや事業所などのEMS(エネルギーマネジメントシステム)にも組み込めるようになっている。
日立インダストリアルプロダクツは2022年10月に、CHAdeMO3.0の実証プロジェクトへの参加を発表しており、その成果が開発した大容量マルチポートEVチャージャに組み込まれている。2023年10月の製品化と並行して、今後は日立グループ内で大容量マルチポートEVチャージャを活用したソリューション提案に向けた実証実験を進める計画である。
まず、大みか事業所(茨城県日立市)では、2023年10月からCHAdeMO3.0に準拠した国内唯一の次世代EV充電規格実証拠点を構築し、大容量電池を搭載する商用EVを含めた国内外の自動車メーカーに対して実証サイトとして開放する予定だ。2024年4月からは、土浦事業所(茨城県土浦市)の駐車場にマルチポートEVチャージャを設置して、勤務中のEV充電を可能にすることで従業員のEV導入を促し、通勤車におけるCO2削減につなげる実証実験を行う。この通勤車のCO2削減は、GHG(地球温暖ガス)プロトコルのスコープ3/カテゴリー7に当たる。さらに、大みか事業所で2024年度内をめどに、マルチポートEVチャージャのV2X機能と80台規模のEVの連携による事業所内EMSの実証実験を始める計画である。
日立グループでは、2010年代前半に日立アイイーシステムがEV用急速充電器を開発し市場に投入しているが、約10年が経過した現在設備更新時期に入っている。この10年間でEVの充電インフラに求められるようになった機能をマルチポートEVチャージャに組み込むことで設備更新需要に対応するとともに、ビルや事業所、大型商業施設などにも新たに導入を進めていきたい考えだ。
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