生成AIとSBOMでSDV時代に対応、車載ソフトの複雑な依存関係を数秒で検索完了:車載ソフトウェア
日立製作所は、プライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN」において、生成AIとSBOMの組み合わせにより、複雑化する車載ソフトウェアの依存関係を容易に可視化できるソリューションを参考展示した。
日立製作所(以下、日立)は、プライベートイベント「Hitachi Social Innovation Forum 2024 JAPAN」(2024年9月4〜5日、東京国際フォーラム)において、生成AI(人工知能)とSBOM(ソフトウェア部品表)の組み合わせにより、複雑化する車載ソフトウェアの依存関係を容易に可視化できるソリューションを参考展示した。従来は、車載ソフトウェアの変更内容について関連部門に問い合わせするなどしていたため時間がかかっていたが、同ソリューションを使うことで生成AIへの対話形式により数秒程度で車載ソフトウェアの依存関係を検索できるようになるという。
開発中のソリューションの名称は「Hitachi Software Bill of Materials利活用アプリケーション」。GPT-4などクラウドベースのLLM(大規模言語モデル)をベースとしながら、車載ソフトウェアの詳細など社外秘情報に関する検索を行う場合には独自に構築した業務知識RAG(Retrieval Augmented Generation)を用いる。この業務知識RAGは、法規関連情報や設計関連情報、車両構成管理情報、そしてSBOMなどを基に作成した知識DB(データベース)から構築されている。
例えば、設計部門の開発者がある法規改正対応のために修正した車載ソフトウェアについて、他の法規制にどのような影響が出るのかを把握するために依存関係を把握するなどの用途が想定されている。「従来はその開発者が所属する部門とは異なる部門に問い合わせて確認する必要があった。会議などを行う場合もあり、極めて手間の掛かる作業だったが、このソリューションを使えば秒単位で確認できるようになる」(日立の説明員)という。
ユーザーとしては自動車メーカーや、システム開発を請け負う大手ティア1サプライヤーなどを見込む。なお、車載ソフトウェアのSBOMについてはサプライヤーから入手する必要があるため、今後サプライヤーはSBOMを提供できるような体制整備が求められそうだ。
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