日立産機が“設備コンシュルジュ”を参考出展、生成AIとIoTサービスを組み合わせ:IIFES 2024
日立産機システムは、「IIFES 2024」において、生成AIとIoT接続による遠隔設備監視が可能な「FitLiveサービス」の組み合わせによる、設備コンシェルジュサービスを参考出展した。社内での実証を経て、2024年度以降の市場投入を検討している。
日立産機システムは、「IIFES 2024」(2024年1月31日〜2月2日、東京ビッグサイト)の日立製作所ブースにおいて、生成AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)接続による遠隔設備監視が可能な「FitLiveサービス」の組み合わせによる、設備コンシェルジュサービスを参考出展した。社内での実証を経て、2024年度以降の市場投入を検討している。
日立産機システムの生成AIに関する参考展示。対象となる設備は給油式スクリュー圧縮機の「HISCREW-G series」で、生成AIが圧縮機の状態や適切な利用法について回答してくれる[クリックで拡大]
日立産機システムは、工場やプラントなどに用いられている各種設備を手掛けており、これら設備の状態監視をIoT接続により遠隔から24時間365日リアルタイムで行えるFitLiveサービスを2017年から提供している。2022年からは、AI技術を導入することで故障の予兆検知なども可能になっている。
今回参考展示したのは、日立産機システムの設備に関するさまざまなデータを学習させたOpenAIの生成AIをベースとするコンシュルジュ的な位置付けのチャットbotと、FitLiveサービスで得られる遠隔設備監視データを組み合わせたものだ。例えば、チャットbotに工場内に導入している設備の状況を問い合わせると、各設備のおおよその状況を音声合成による発話で回答してくれる。また、個別の設備の状況をより詳しく知りたい場合には、その設備に対して呼びかければ正確な状況把握が可能になる。不具合などがあった場合も、日立産機システムの設備のコンシェルジュとしてマニュアルやFAQに沿った対応策を即座に提示でき、保守サポートが到着するまでの適切な対処の支援にも貢献する。
「個別の設備に呼びかけるようにしたのは、生成AIで起こりやすいハルシネーションに対応するためでもある。製造業の現場で正しくない情報が出てしまうことは課題だが、対象を限定して質問を行うことでハルシネーションを抑制できるようになる」(日立産機システムの説明員)という。
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