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バイオ医薬品の開発を加速するExD セル、見えなかった解離パターンを可視化素材/化学インタビュー(2/2 ページ)

バイオ医薬品は副作用が少なく疾患領域が広いことで期待を集めている。このバイオ医薬品の研究開発に役立つ液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析計用の小型装置を手掛けるアジレント・テクノロジーの芹野武氏に話を聞いた。

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専用ソフトウェアの機能とは?

MONOist Agilent ExD セルの専用ソフトウェアを教えてください。

芹野氏 当社はAgilent ExDセルに対応するデータ解析ツールとして、バイオ医薬品ソフトウェア「BioConfirm」の新バージョンである「12.1」とフリーソフトウェア「ExD Viewer」もリリースした。

Agilent ExD セルで得られる情報
Agilent ExD セルで得られる情報[クリックで拡大] 出所:アジレント・テクノロジー

 BioConfirm 12.1は、従来のペプチドマッピング機能にc-z割り当て機能が追加されたタイプだ。ペプチドマッピング機能は、6545XT AdvanceBio LC/Q-TOFとAgilent ExD セルで対象のサンプルから得られたデータを基に、タンパク質を酵素で消化した際の開裂パターンを表示する。c-z割り当て機能は、6545XT AdvanceBio LC/Q-TOFとAgilent ExD セルから得られたデータを基に、c-z開裂のフラグメントの修飾位置を割り当てしたデータも生成できる。

6545XT AdvanceBio LC/Q-TO用FとAgilent ExD セル用のデータ解析ツール
6545XT AdvanceBio LC/Q-TO用FとAgilent ExD セル用のデータ解析ツール[クリックで拡大] 出所:アジレント・テクノロジー

 ExD Viewerは、6545XT AdvanceBio LC/Q-TOFとAgilent ExD セルで対象のサンプルから得られたデータを基に、タンパク質を酵素消化しないトップダウン分析と還元処理によってサブユニットに分解したミドルダウン分析を行える他、ターゲットのペプチドにおける特定の化合物を分析することも可能だ。さらに、多価イオンのベースとなる分子量を高速で算出するMS/MSスペクトルのデコンボリューションにも対応する。加えて、CIDとECDで得られたデータに対応し、ユーザーにより配列/修飾を編集でき、解析結果をURLリンクで送信可能なため共同研究にも使える。

ExD Viewerの画面
ExD Viewerの画面[クリックで拡大] 出所:アジレント・テクノロジー

MONOist ExD セルを販売するまでの歴史を教えてください。

芹野氏 ExD セルは米国のオレゴン州立大学で1999年に発明された。その後、ベンチャー企業のe-MSionが製品化し、アジレント・テクノロジーをはじめとするさまざまなメーカーのLS/MSのアクセサリーとして販売された。

 e-MSionは2019年にExD セル「ExD AQ-25x」を発売し、アジレント・テクノロジーと共同マーケティングを行い米国で拡販。2023年3月には、アジレント・テクノロジーがe-MSionを買収した。2024年6月には米国質量分析学会(ASMS)で、ExD AQ-25xをベースに6545XT AdvanceBio LC/Q-TOFに合わせてAgilent ExD セルを開発したと発表した。

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