装着物なしで複数のユーザーが同時に視聴できる超鏡空中像表示システム:組み込み開発ニュース
NTTは、デジタル情報が鏡の内外を自在に行き来できる超鏡空中像表示システムを開発した。鏡の中と外の空間にバーチャルキャラクターを高い実在感で表示し、インタラクティブかつ直感的な操作が可能になる。
日本電信電話(NTT)は2024年7月26日、デジタル情報が鏡の内外を自在に行き来できる超鏡空中像表示システムを開発したと発表した。鏡の中と外の空間にバーチャルキャラクターを高い実在感で表示し、インタラクティブかつ直感的な操作が可能になる。
同システムは、バーチャルキャラクターを鏡の中に表示する従来のミラーディスプレイのような映像表示だけでなく、バーチャルキャラクターが鏡の外に飛び出し、ユーザーと同じ空間を共有する体験も可能となる。ディスプレイの映像を再帰反射によって空間中に結像し、VR(仮想現実)ゴーグルや3Dグラスなどの装着物なしで複数のユーザーが同時に超鏡空中像を視聴できる。
光学系の動作としては、ディスプレイからの光をハーフミラーで反射し、その後は再帰反射材で再帰反射して空中像を形成する。ディスプレイは移動機構を備えており、空中像の奥行き位置を調整することで、鏡の中と外を連続的に移動する空中像を提示できる。また、ハーフミラーを三面鏡のように配置することで、空中像が結像されるまでの光路長を伸ばしすぎず、空中像を視聴できる範囲を拡大し、視聴できるユーザー数を増加させる。
同システムでは、鏡の内外の空中像に対する直感的なインタラクション手法を考案した。リアル空間のユーザーの手の位置座標をセンサーで取得し、空中像を鏡の外に表示する際にはそのままの座標を使用し、鏡の中に表示する際には鏡に映った手の座標を算出して空中像を操作する。空中像の表示領域に応じて座標を切り替えることで、ユーザーは鏡の内外を問わずに空中像と直感的にインタラクションできる。
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