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産業用ネットワーク機能をソフト化し、サーバ上でのロボット制御に成功:産業用ロボット
NTTと千歳科学技術大学は、産業用ネットワーク機能をソフト化する技術を用いて、産業用ロボットをサーバ上で制御する実証実験をした。さらに、産業用ネットワーク機能の入れ替えができることも確認した。
日本電信電話(NTT)は2024年5月16日、産業用ロボットをサーバ上で制御する実証実験を実施したと発表した。ロボット制御において課題となる、機器や制御ソフトの選定自由度、拡張性の少なさの解決を目指す。
同社は千歳科学技術大学と共同で、産業用ネットワーク機能をソフト化する技術の開発に取り組んできた。実証実験では、産業用ロボットをサーバ上で滞りなく遠隔制御できることに加え、産業用ネットワーク機能の入れ替えができることを確認した。
産業用ロボットの制御機能は、ベンダーの独自仕様で作られる。ロボットごとに専用の操作系機器に実装するため、機器や制御ソフトの選定自由度や拡張性の少なさが課題となっていた。
新たに開発した技術は、制御機能をプロトコルドライバレイヤー、制御機能レイヤー、管理ドライバレイヤーに分離し、ソフト化することに成功。これにより、プロトコルに依存しないロボット制御、動作内容に応じた柔軟な切り替えと更新、他のシステムとの連携制御などが可能になった。
同技術の導入により、クラウド上のサーバリソースを活用して産業用ロボットの制御が可能になるため、工場内への専用機器の設置が不要になる。将来的には簡易な工場システムの構築にも対応し、生産ラインの自動化の普及を加速化することで、人手不足といった課題解決への貢献が期待できる。
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