ULMポリイソシアネートを国内で発売、欧州REACH規則の新基準対応:材料技術
DICは、100%子会社でイタリアの接着剤/ポリマメーカーであるSapiciの超低フリーモノマーポリイソシアネート「POLURGREEN シリーズ」について、2024年8月1日に日本国内で発売する。
DICは2024年8月1日、100%子会社でイタリアの接着剤/ポリマメーカーであるSapiciの超低フリーモノマー(以下、ULM)ポリイソシアネート「POLURGREEN シリーズ」について、同日に日本国内で発売すると発表した。
同製品は環境や健康リスクへの懸念があるジイソシアネートモノマーの残留濃度を0.1%未満まで抑えた環境対応製品だ。この残留濃度は、2023年8月から規制が強化された欧州REACH規則の新基準にも対応している。
ジイソシアネートは、コーティングや接着剤、発泡剤などのポリウレタン製品に使用される化学物質だ。身近な化学物質である一方で、環境や健康リスクへの懸念もあり、近年では多くの国で使用に一定の規制を設けている。
環境への影響が大きい化学物質を厳しく規制する欧州REACH規則では、ジイソシアネートモノマー残留濃度規制値が2023年8月から0.1%未満に引き下げられた。日本では現在の規制値は0.5%未満だが、欧州での規制強化に伴い、今後は国内でも規制の強化やULM技術を使った環境対応製品の需要拡大が予想される。
Sapiciは、このULM技術の商業化に世界で初めて成功した企業だとしている。同社が欧州で販売するPOLURGREEN シリーズは、取り扱い作業者の健康に配慮した安全性の高い製品として、既に10年以上の販売実績がある。これらの製品を主力製品と位置付け、今後日本市場での拡販を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- DICが世界初となる藻類油タイプの硫黄系極圧添加剤を開発、-15℃の流動点
DICは、硫黄系極圧添加剤「DAILUBE」で、世界初となる藻類油タイプの新製品「KS-519」を開発した。 - DICと出光興産がバイオプラのサプライチェーン構築、バイオPSの製造を開始
DICと出光興産は、新たなバイオマスプラスチックのサプライチェーン構築とバイオマスポリスチレン(バイオマスPS)の製造に向けた検討開始に合意したと発表した。 - DICがサプライチェーンを最適化するプラットフォームを運用、業務の属人性を排除
DICは、グローバルに展開している主力事業のサプライチェーン全体を最適化する「デジタルSCM(サプライチェーン・マネジメント)プラットフォーム」の運用を開始した。 - DICが液晶事業から撤退、世界初の液晶電卓向けから始まった50年の歴史に幕
DICは2024年12月末までに液晶材料事業から撤退すると発表した。生産拠点となっている埼玉工場の一部と中国の青島にある子会社の一部も閉鎖する。併せて、同事業に関連して保有する知的財産を中国のSlichemに譲渡することも決定した。 - 廃棄軟包装フィルムのカラフルな着色を可能とする再生原料を実用化
DICが開発した廃軟包装フィルム再生原料を、大日製罐とDICプラスチックが採用した。DIC独自の印刷インキ除去技術を活用して再生原料の混色を防ぎ、従来の色相に近い色合いを再現できる。