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廃棄軟包装フィルムのカラフルな着色を可能とする再生原料を実用化:リサイクルニュース
DICが開発した廃軟包装フィルム再生原料を、大日製罐とDICプラスチックが採用した。DIC独自の印刷インキ除去技術を活用して再生原料の混色を防ぎ、従来の色相に近い色合いを再現できる。
DICは2023年6月6日、廃材となった食品や日用品などの軟包装フィルムを用いた再生原料(再生ペレット)を、大日製罐が梱包用バンドに、DICプラスチック(DPI)が仮設資材に採用したと発表した。カラフルな着色が可能で、従来の色相に近い色合いを再現できる。両製品とも、同月上旬に販売を開始する予定だ。
これまでの廃棄軟包装フィルムのマテリアルリサイクルでは、フィルムの印刷インキを除去しきれず、暗色系のペレットにしか再生できなかった。そのため再資源化の用途が限られていたが、DIC独自の印刷インキ除去技術で再生ペレットの着色と物性劣化の課題に対応し、暗色以外のさまざまな色の着色を可能とした。
この再生ペレットを活用することで、従来の製品に近い色合いを再現できる。着色自在であることに加え、成形品のスペックも満たすことから、大日製罐とDPIでは採用を決定した。
DICは、重点市場とする食品パッケージ市場において、2021年5月より大手製パンメーカーと協業を開始。廃棄軟包装フィルムのマテリアルリサイクルの拡大に向け、脱インキ技術を活用して再生ペレットの混色を防ぎ、新しい用途へ再生させる取り組みを進めていた。
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