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DICが世界初となる藻類油タイプの硫黄系極圧添加剤を開発、-15℃の流動点:材料技術
DICは、硫黄系極圧添加剤「DAILUBE」で、世界初となる藻類油タイプの新製品「KS-519」を開発した。
DICは2023年12月22日、硫黄系極圧添加剤「DAILUBE」で、世界初(同社調べ)となる藻類油タイプの新製品「KS-519」を開発したと発表した。
KS-519は、高引火点かつベースオイルへの高い溶解性を備えたこれまでのDAILUBE製品をベースに構築されており、特定の粘度レベル、硫黄含有量、活性硫黄が必要な広範な金属加工用途で使用される潤滑油に特に適している。
同製品は、従来の硫化油脂製品よりも低い-15℃の流動点を持つ藻類油タイプで、動物油以外の原料を利用していながらラードタイプと同等の性能を保持している他、高い酸化安定性で長期間の使用に適合する。
さらに、従来の同社サステナブル製品である「GS-240(植物油タイプ)」と比べると、CO2排出量を5%削減できる。利用する原料の藻類油は、菜種油と比べ、1トン(t)当たりの収穫量に対する耕作地の使用面積を85%減らせ、パーム油と比較して1t当たりの収穫量に対する水の使用量を87%削減でき、環境負荷の低減に貢献する。
今後は、藻類油タイプの製品ラインアップを拡充し、日本や米国、欧州地域における自動車(特にEV)や金属加工用潤滑油、ギアオイルなどのメーカーを視野に拡販を進め、2030年には売上高80億円を目指す。
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