2023年の国内高機能包装材料市場は前年比93.1%の大幅減:製造マネジメントニュース
矢野経済研究所は、国内の高機能包装材料市場に関する調査結果を発表した。2023年の市場規模は72万3440tで、前年比93.1%の大幅減となった。2024年は、在庫の適正化や内食ニーズの回復により、2023年比103.5%の74万9000tになると予測する。
矢野経済研究所は2024年7月23日、国内の高機能包装材料市場に関する調査結果を発表した。2023年の市場規模(国内出荷および輸出量)は72万3440トン(t)で、前年比93.1%の大幅減となった。
調査は、同年4〜6月に軟包装関連企業を対象に実施。2023年は、基材フィルムが32万380t(前年比91.0%)、バリアフィルムが7万960t(同93.1%)、シーラントフィルムが29万9570t(同94.7%)、ラベル用シュリンクフィルムが3万2530t(同99.8%)と、いずれも減少している。
新型コロナウイルス感染症の流行による巣ごもり特需の反動に加え、商品の値上げによる買い控え、店舗での過剰在庫の削減、値引き販売によるフードロス削減の動きが進み、2022年に比べて出荷量が減少したとみられる。一方で、在庫の適正化や内食ニーズの回復により食品包装材料の需要増が見込まれており、2024年の高機能包装材料市場の規模は、2023年比103.5%の74万9000tになると予測する。
特にパウチ包装は、コンビニPB(プライベートブランド)惣菜への採用などから、スタンディングタイプが急拡大してきた。しかし最近は、スタンディングタイプへの切り替え需要が一段落し、成長は鈍化している。
国内では今後、人口減少により包装材料需要の縮小傾向が継続する。また、海外包装材料メーカーの技術力向上や世界的な供給過剰、価格競争の激化などから、国内メーカーによる包装用フィルム汎用品は競争力を失いつつある。ただし、環境配慮型製品へのニーズや、レトルト食品用パウチ包装などASEAN市場における高バリア性へのニーズは顕在化しており、少なからず成長分野もある。
また近年は、便利さやリサイクル適性など、プラスチックの有用性が見直され、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を前提とした仕組みの構築や容器包装設計が求められている。さらに、サステナビリティ目標の節目となる2025年を目前に、食品メーカーなどによる環境配慮型製品の本格採用も見込まれることから、包装材料メーカーでは自社の事業ポートフォリオの変革が必要になるとしている。
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