ローカル5G市場は2030年度に558億円まで成長 矢野経済研究所が予測:製造ITニュース
矢野経済研究所は、2030年度のローカル5Gソリューション市場ついて、事業者売上高ベースでに558億円に達するとの予測を発表した。
矢野経済研究所は2024年2月28日、ローカル5Gソリューション市場に関する調査結果を発表し、2030年度には558億円に達するとの予測を示した。
調査によると、ローカル5Gは、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限が緩和された2022年度以降、導入検討やPoC(概念実証)が進んだ。2023年度にはPoCの件数が増えると共に実装段階のプロジェクトも増加し、同年11月末現在のローカル5G免許人は、公表を承諾している事業者だけで152者となった。2023年度のローカル5Gソリューション市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比217.2%の63億円になる見込みだ。
ローカル5Gソリューション市場は現在、黎明期から導入期に当たり、同社では、本格的な普及は2025年度以降になると見ている。対象テーマは、リアルタイム対応や遠隔モニタリング、最適化、意思決定支援、自動化および自動制御、予知、予測、予防、価値向上などが想定される。
ローカル5Gネットワークの利用形態は、単独ではなく複数の企業や団体が利用する共有型、レンタルやサブスクなどのレンタルパッケージ型なども出てきた。同ネットワークの用途を特化して運用コストを抑えるソリューションも期待されている。
また、企業や自治体の建物、敷地内に、移動体通信事業者(MNO)が必要な帯域で5Gネットワークを提供するサービス「プライベート5G」が注目されている。同サービスでは、MNOが基地局設備を設置し、保守運用も担う。利用する企業や自治体側にとっては無線局免許が不要で、運用負担が少ないというメリットがある。
ローカル5Gソリューションは、既存の通信規格を用いるIoT(モノのインターネット)システムが更新時期を迎えるタイミングで、5GベースのIoTソリューションへと代替していくと考えられる。まずはセルラー5GベースのIoTソリューションが導入され、ローカル5Gとプライベート5Gが並走する形で、用途に応じた使い分けが進むとみられる。
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