ニュース
カーボンナノチューブ向けに植物由来材料を使った水系分散剤を発売:材料技術
星和電機は、カーボンナノチューブ向けの水系分散剤「SGX01」の販売を開始する。高い分散性があり、また廃棄植物などを活用した材料を使用するため、環境にも優しい設計となっている。
星和電機は2024年7月16日、カーボンナノチューブ(CNT)向けの水系分散剤「SGX01」を発売すると発表した。
SGX01は、CNTに対して分散性が高いという特徴を持つ。添加量が少なくても均一に分散し、粘度上昇を抑え、高濃度領域における分散を可能とした。CNTへの破壊を可能なかぎり抑え、長期的に分散状態が安定する。また、材料には廃棄される植物などを原料とした多糖類(ヘミセルロース)を使用しており、環境に配慮した安全性の高い製品となっている。
主な用途として、樹脂やゴムと複合化したEMCシールド材料、リチウムイオン電池電極の電気抵抗を下げる導電助剤電池、キャパシタ用部材(導電助剤、電極材料)、導電性塗料、帯電防止材料、電磁波吸収遮蔽材料、センサー部材、発熱材料および塗料などを想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- カーボンナノチューブを微生物で効率的に分解する手法を開発
フレンドマイクローブは、日本ゼオンや名古屋大学 大学院 工学研究科 教授の堀克敏氏の研究グループとともに行った共同研究によって、カーボンナノチューブ(CNTs)を微生物で効率的に分解する手法を開発したと発表した。 - カーボン系の新素材「GMS」がリチウムイオン電池の性能向上を加速する
近年、リチウムイオン電池の性能を向上するために導電助剤の改良が注目されている。そこで、今回は、リチウムイオン電池の入出力向上や長寿命化、高容量化に役立つ導電助剤用であるグラフェンメソスポンジ(GMS)を開発し、展開する3DC 代表取締役の黒田拓馬氏に同製品について聞いた。 - “柔らかい”導電性熱可塑性ウレタン樹脂、インク用顔料は分散材が不要に
大日精化工業は、カーボンナノチューブを用いた導電性熱可塑性ウレタン樹脂と分散剤が必要ないインクジェット印刷向けインク用顔料の開発を進めている。 - ねじり変形したカーボンナノチューブバンドル構造体に回位の発生を確認
東京工業大学は、カーボンナノチューブバンドル構造体をねじり変形させると、回位が発生することを発見した。回転を起こした領域と、起こしていない領域との境界線である回位線の観測にも成功している。 - 高熱伝導性と柔軟性を持つカーボンナノチューブ接着シートを開発
富士通研究所は、最高で100W/mKと極めて高い熱伝導性を持つカーボンナノチューブ接着シートを開発した。柔軟性を備え、安定した形状で加工しやすいため、カーボンナノチューブの放熱材料としての実用化が期待できる。