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ねじり変形したカーボンナノチューブバンドル構造体に回位の発生を確認:研究開発の最前線
東京工業大学は、カーボンナノチューブバンドル構造体をねじり変形させると、回位が発生することを発見した。回転を起こした領域と、起こしていない領域との境界線である回位線の観測にも成功している。
東京工業大学は2024年6月21日、カーボンナノチューブバンドル(CNTB)構造体をねじり変形させると、回位が発生することを発見したと発表した。回位は回転型の格子変位を持つ線状の格子欠陥で、計算機シミュレーションにより、回転を起こした領域と起こしていない領域との境界線である回位線の観測にも成功している。
研究では、分子動力学シミュレーション上で層数の異なるCNTBモデルを構築し、ねじり変形に伴う内部構造の変化を解析した。具体的には、1本のCNTの周りに同心円状にCNTを積層分布し、六員環構造のCNTBを形成。CNTBの両端を等しい角速度0.0218rad/ps(1.25度/ps)でねじり、破壊に至るまでねじり変形と緩和を繰り返すシミュレーションを実施した。
その結果、CNTBの局所的な配置が変化し、格子欠陥回位の形成を確認。ねじれ角度の増加と共に回位は生成し続け、曲線状の回位線が長くなることが分かった。回位線が長いほどCNTBのヤング率が低下することから、回位線がCNTBの引張特性を低下させる因子になると考えられる。
CNTB構造のねじれ角度(a)0rad、(b)4.93rad、(c)5.02rad。(d)回位線の長さとねじれ角度。(e)ヤング率とねじれ角度。(f)ねじれ角度6.28radにおけるCNTBの回位線の長さとヤング率の線図。(a)〜(c)の赤い点は正の回位、青い点は負の回位を表す[クリックで拡大] 出所:東京工業大学
高強度なCNTBを連続的に製造するにあたり、ねじり変形させたCNTB構造体の延伸性能の低さはボトルネックだ。材料内の回位と力学特性の相関関係を解明することにより、材料の強化や新たな機能創出への応用が期待される。
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