トヨタと先端技術共創機構が革新技術の社会実装を支援、3大学との連携がスタート:イノベーションのレシピ
トヨタ自動車と先端技術共創機構は2022年3月14日、東京大学大学院工学系研究科や東京工業大学、名古屋大学と「技術インキュベーションにおける連携に関する基本協定書」を締結したと発表した。
トヨタ自動車と先端技術共創機構(ATAC)は2022年3月14日、東京大学大学院工学系研究科や東京工業大学、名古屋大学と「技術インキュベーションにおける連携に関する基本協定書」を締結したと発表した。
2021年5月からトヨタ自動車と先端技術共創機構は、大学などの研究機関や技術系スタートアップを対象に、革新技術の探索から社会実装、事業化までさまざまなフェーズで支援するための活動「ITAP(Innovative Technology Acceleration Platform)」を開始した。
大学や研究機関向けには、共同研究の拡大に向けた仕組みの構築、スタートアップ輩出に向けた仕掛けの検討や実施、研究の事業化や企業との連携スキームの検討などを行う。スタートアップ向けには、事業、財務、バックオフィスの全ての面を支援する。
先端技術共創機構が持つ大学や研究機関とのネットワーク、技術インキュベーションの知見と、トヨタ自動車が持つモノづくりで培った知見やネットワークを融合し、日本にある優れた技術の研究開発や社会実装への貢献を目指している。優れた技術シーズを社会に実装し、経済的な価値につなげ、イノベーションの源泉となる新たな技術に再投資する大きな循環を作り出していくことが重要になるという。
支援の対象は、カーボンニュートラル、マテリアル、ロボット、人間が持つ認識や身体能力を増強/拡張する技術、エネルギー、半導体、デジタルなど幅広く設定している。
今回、東京大学大学院工学系研究科や東京工業大学、名古屋大学が、ITAPの取り組みに賛同し、連携することを決めた。先端技術共創機構は、親会社の経営共創基盤(IGPI)グループの産業界とのネットワークもフル活用しながら、技術の研究開発や社会実装、事業化を行う。トヨタ自動車は、モビリティ以外の領域も含めてこれまで以上に幅広い大学や研究機関などとのパートナーと先端技術の研究を進めていく。
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