そのねじ緩んでいます……緩み具合を遠隔検知で点検作業を大幅効率化:メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2024
池田金属工業は「第50回 プラントメンテナンスショー」においてねじの緩みを遠隔で検知するシステムを発表した。
池田金属工業は「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2024」(2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)の構成展の1つである「第50回 プラントメンテナンスショー」において、ねじの緩みを遠隔で検知するシステムを発表した。
色の状態を遠隔で検知、クラウドを介して確認
近年の人手不足で問題となっているのが、さまざまな設備の点検人員の確保だ。特に鉄塔などの危険箇所や高所に取り付けられたねじの点検は、現地までのアクセスが難しい上、安全性も求められる。
今回展示したのは、同社が以前から販売してきた、目視でねじの緩みが確認できるDTIシステムを活用した遠隔検知システムである。
DTIシステムとは、締め付けたねじの軸方向に発生する軸力によるねじのわずかな伸びを検知する仕組みを内部に埋め込み、伸びの度合いを段階的に赤から黒へと変化する色で表示させる軸力管理システムだ。
赤ければねじが緩んでいる状態で、ねじを締めて黒くなるとあらかじめ設定した軸力(締め付け力)を確保できた状態となる。「力をかけたかどうかではなくて、実際に締まっているかどうかが一目で分かるのが特徴だ」(池田金属工業 代表取締役社長の武井宏樹氏)。適正軸力はアプリケーションによって異なるため、ねじは受注生産となる。ただ一目で分かるとはいえ、これまでは現場まで行き、ねじの状態を目視しなければならなかった。
そこで同社は、DTIシステムの色を遠隔で検知する仕組みを開発した。色を読み取る基板や照明用のLED、電源や通信機能を組み込んだセンサーをねじに被せることで、色の状態を遠隔で把握し、ねじのゆるみを検知する。センサーから得たデータは通信用の専用ルーターを介してクラウドサーバに送られるため、ユーザーはスマートフォンやタブレット端末、PCでねじの状態を確認できる。定期的なメンテナンスでも、増し締めが必要なねじを特定して作業することにより、点検効率を大幅に高められる。
山間部や洋上などアクセス自体が困難な現場や、送電用鉄塔などの危険が伴う高所、広大な敷地を持つプラントなどでの利用を想定している。「工場では複数のねじを同時に計測したいという声もある。カメラを使ってねじを一括計測をしてAI(人工知能)などで解析をすることも今後の開発課題として考えている」(武井氏)。
同社としては現在、実証実験を行うパートナー企業を募っている。2025年6月ごろの販売し、2029年には年間5億円の売り上げを目指している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 重要インフラに“2030年クライシス”の恐れ、メンテナンス人材不足調査で判明
マイスターエンジニアリングは鉄道や電気など国内の超重要インフラのメンテナンスに携わる企業や人材を取り巻く環境について行った独自の調査結果を発表した。2030年に3割以上の設備でメンテナンスが成り立たなくなる可能性があると指摘した。 - “首をなが〜くして”業務DXロボが設備点検、半導体工場で年内にも実運用へ
ugo、日立プラントサービス、日立システムズは業務DXロボットを使った工場点検作業の自動化サービスの開発をスタートする。 - AIを活用した設備異常検知システム、正常データのみで閾値まで提案
バルカーはRidge-iとともに回転機器の振動、超音波センシング全般に対応可能なAI技術を開発し、同技術を搭載した設備異常検知システム「VHERME(ベルム)」を共同開発した。 - RFIDタグから設備の温度情報を一括取得、設備点検の工数を削減へ
NSKとTOPPANエッジは温度センサー搭載RFIDタグを活用した、産業機械設備向け保全管理システムの共同開発を開始した。 - プラントスマート化へ新認定制度開始、築40年以上が2025年には8割以上に
経済産業省は、高圧ガス関連施設の自主保安の強化を進めるために、IoT活用などを条件にした新認定事業所制度を2017年4月に開始する。