日立建機、大規模基幹業務システム基盤を「Oracle Cloud」に移行:製造IT導入事例
日本オラクルの「Oracle Cloud Infrastructure」が、日立建機の基幹業務システム基盤に採用された。オンプレミスのアプリケーションサーバ、データベースをクラウドに移行する。
日本オラクルは2024年6月28日、日立建機の基幹業務システム基盤に、オラクルの「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」が採用されたと発表した。
日立建機は今回、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環として、大規模基幹システムのパブリッククラウドへの移行を決定した。データ活用に向けた今後のAI(人工知能)導入を想定し、基幹システムや建設機械の稼働データの一元化を図る。
オンプレミスのVMware仮想化環境に置いていた約500のアプリケーションサーバと約100のデータベースは、OCI上で稼働する「Oracle Cloud VMware Solution」「Oracle Exadata Cloud Service」に移行する。また、事業継続性の向上を目的に、「Oracle Cloud」東京と大阪リージョンを用いた災害復旧環境も新たに構築する。
日立建機は、日立グループ各社の協力を得て、自社でデータベースの統合と移行、アプリケーション移行を進めている。2023年4月よりOCI上での環境構築を進め、2023年8月に開発環境を先行して移行。その後、本番環境を段階的に移行し、2024年5月に「Oracle Exadata Database Service」への移行を完了した。
今後、2024年8月に「Oracle Cloud VMware Solution」への移行を完了し、2024年内に災害復旧環境が稼働を開始する予定となっている。
Oracle Cloud Lift Servicesの実行可能性を調査、PoCを支援
日本オラクルは、「Oracle Cloud Lift Services」の実行可能性を調査し、PoC支援サービスを提供。大規模基幹システム移行における課題の整理や対策を担ったほか、「Oracle Cloud VMware Solution」「Oracle Exadata Database Service」のスキル習得をサポートしている。
また、PoCにおいては、OCIの基本機能や可用性、移行、運用に関する約700のシナリオを検証した。OCI上で先行して稼働している開発環境を移行段階で活用し、各ワークロードに事前計画やテスト、検証を実施。ビジネスが停止する期間の短縮に寄与している。
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