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パルプ回収率85%以上の包装を実現する紙製ハイバリアモノマテリアルシートを開発材料技術

大日本印刷は、パルプ回収率85%以上の紙製ハイバリアモノマテリアルパッケージを作成できる紙製ハイバリアモノマテリアルシートを開発した。

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 大日本印刷(DNP)は2024年6月25日、パルプ回収率85%以上の紙製ハイバリアモノマテリアルパッケージを実現できる「紙製ハイバリアモノマテリアルシート」を開発したと発表した。

 このシートは、同社が2022年に開発した環境配慮型のパッケージ用紙シートの材料や加工方法を改良し開発したものだ。環境配慮型のパッケージ用紙シートは、原材料を紙の単一素材(モノマテリアル)にすることによってリサイクルのしやすさを高めながら、酸素や水蒸気などの透過を防ぐバリア性を持たせている。

アルミ蒸着膜やアルミフィルムなども不使用

 紙製ハイバリアモノマテリアルシートは、モノマテリアル基材として、一般的なクラフト紙、カードボードを使用している他、使用する材料や加工方法の改良によってパルプ回収率を85%以上まで高めることで、リサイクル性を高めている。

紙製ハイバリアモノマテリアルシートを使ったパッケージ
紙製ハイバリアモノマテリアルシートを使ったパッケージ[クリックで拡大] 出所:DNP

 また、紙はパルプ繊維が細かく絡み合う多孔質構造であり、酸素や水蒸気などを透過させないことが難しく、包装材に使用した場合、これまでは内容物を長期間保護することが困難だったが、紙製ハイバリアモノマテリアルパッケージはこの課題を解消している。同パッケージでは、DNPが有す独自のコンバーティング(材料加工)技術を生かして、紙では難しいとされてきたハイバリア域である酸素透過度(OTR)で0.5cc/m2・day・atm以下、水蒸気透過度(WVTR)で0.5g/m2・day以下を実現している。

 さらに、薄紙(クラフト紙)だけでなく厚い板紙(カードボード)など、さまざまな用紙に対応し、ハイバリア性能と高いパルプ回収率を実現するとともに、折り曲げ加工後のバリア性の劣化を最小限に抑えることで、パッケージとして必要な機能を備えている。

 加えて、薄い透明材料で構成するハイバリア膜に、プラスチックのポリ塩化ビニリデン(PVDC)を使用していない。アルミ蒸着膜、アルミフィルムなども使っていないため、リサイクル時の微小な金属(アルミ)の混入がなく、再生したパルプの質の劣化(ダウングレード)を防げる。

 今後DNPは、今回のパッケージで利用している紙製ハイバリアモノマテリアルシートを食品、化粧品、医療品などのメーカーに提供していく。また、独自のコンバーティング技術を生かして、バリア性などの機能を高めた環境配慮製品/サービスのラインアップを拡充し、環境負荷低減の需要が高まる国内外の市場に展開する。

紙製ハイバリアモノマテリアルシートの開発背景と概要

 気候変動や地球温暖化、プラスチックによる海洋汚染といった環境課題の解決に向け、国内外の大手メーカーや小売流通業は、商品を開発/提供する際に、石油由来から植物由来の材料への切り替えや、堆肥化可能な生分解性の材料の使用などでパッケージによる環境負荷の低減に努めている。欧米では近年、紙製パッケージにおけるリサイクル性の1つの指標としてパルプ回収率を80%以上とするなど、資源としての再生効果の向上を進めている。

 そこでDNPは、「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGINGR」の製品ラインアップを拡充している。今回、DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGINGRの新製品として紙製ハイバリアモノマテリアルシートを開発した。

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