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DNPが経口剤向けにパッケージ内部の湿度を一定に保てる吸湿包材を開発材料技術

大日本印刷は、水分を吸収する「吸湿剤」をフィルム樹脂に混ぜて練り合わせることで、パッケージ内部の湿度を一定に管理することができる経口剤向けの「DNP吸湿包材」の提供を開始する。

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 大日本印刷(DNP)は2024年6月17日、水分を吸収する「吸湿剤」をフィルム樹脂に混ぜて練り合わせることで、パッケージ内部の湿度を一定に管理することができる経口剤向けの「DNP吸湿包材」の提供を開始すると発表した。

開発の背景

 近年、医薬品の輸出入が増加する中で、その品質管理の重要性が高まっている。特に経口剤は水分に弱く、湿気によって品質が劣化しやすいため、従来はパッケージ内に乾燥剤を入れる必要があった。そこで、DNPはDNP吸湿包材を開発した。

DNP吸湿包材の特徴

 DNP吸湿包材は、使用するフィルム自体に吸湿性を付与しているため、乾燥剤を封入できない小さなパッケージの内部も水分から守ることができる。小さい経口剤の分包などにも適している他、医療用センサーの外装材、体外診断用医薬品キット、スティック包装(細粒医薬品包装)など、多様なパッケージ形態にも対応し、内容物の品質を長期にわたって保てる。

「DNP吸湿包材」のイメージ
「DNP吸湿包材」のイメージ[クリックで拡大] 出所:DNP

 さらに、従来のDNPの吸湿包材用フィルムと比べて約30%の薄層化を実現し、より小さい力で開封できるようにもして、使い勝手を向上させた。ハサミなどを使わずに手で切れるような材料選定も行うとともに、製品設計を工夫することで、より良好な開封性なども付与できるようにしている。

 同包材は、バイオマスPETフィルムを素材に使用することで、従来のDNP製品と比べて、CO2排出量を約10%削減(同社調べ)した。また、乾燥剤を入れる空間をパッケージ内部に確保する必要がないため、内容物に最適な寸法の包材の製造が可能で、各種材料の使用量削減にもつながる。

 今後は、製薬会社や医療用検査試薬メーカー、医療機器メーカーなどにDNP吸湿包材を展開して、関連製品/サービスも含めて、2028年までに5億円の売上高を目指す。併せて、多様な医療用パッケージに適応した吸湿包材の開発も進めていく。

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