混合廃プラ油化技術で東洋エンジニアリングとタイのSCGケミカルズが協業:リサイクルニュース
東洋エンジニアリングとタイのSCGケミカルズは、SCGケミカルズの関連会社であるCircular Plasが保有する使用済み混合廃プラスチックの油化技術による石油化学原料化プロセスについて、スケールアップと事業機会拡大のための協業に関する共同開発契約書を締結した。
東洋エンジニアリングとタイのSCGケミカルズは2024年6月24日、SCGケミカルズの関連会社であるCircular Plas(CirPlas)が保有する使用済み混合廃プラスチックの油化技術による石油化学原料化プロセスについて、スケールアップと事業機会拡大のための協業に関する共同開発契約書を締結したと発表した。
新しい反応装置を混合廃プラスチック油化実証プラントに設置
両社は、CirPlasの油化技術の商業化に向けた共同検討に関する基本合意書を2022年1月に締結しており、実証プラントの生産能力の増強や商業化へのスケールアップの検討を進めてきた。今回は、両社のパートナーシップを強化し、商業化や第三者へのライセンス供与のための技術開発を促進するために、合意書を締結した。
CirPlasの油化技術を用いたプラスチックリサイクルは、独自の多機能材料を用いることでプロセス温度を下げ、軽質分解油の収率を高める省エネルギー/環境配慮型の油化プロセスだ。この技術は、タイのラヨン県にある混合廃プラスチック油化実証プラントで、廃プラスチックをナフサにリサイクルする際に活用されている。このプラントで得られた廃プラスチック由来のナフサは、石油化学プラントで原料として活用され、これにより循環型プラスチック製造を実現。このプロセスは、ISCC(国際持続可能性カーボン認証)の認証を取得している。
一方、東洋エンジニアリングが設計した反応装置は、状態が変動する廃プラスチック原料のリサイクルに対応し、連続運転性を高めることを目指している。
これらの技術を組み合わせることで、CirPlasと東洋エンジニアリングはプラスチック油化リサイクルにおける設備稼働率の向上に取り組んでいる。
なお、プラスチック廃棄物を再びプラスチック原料にリサイクルすることで、従来の焼却処理に比べてCO2の排出量を減らせる。ラヨン県にある混合廃プラスチック油化実証プラントでは、1日当たり1kgの化石資源を削減しており、これはシャンプーボトル(800ml)約9万個分となる化石資源の削減に相当する。
現在、両社は新しい反応装置を混合廃プラスチック油化実証プラントに設置する準備を進めており、2025年初頭に運転を開始する予定だ。これにより、商業化に向けCirPlasの油化技術のスケールアップを推進するとともに、稼働中の実証プラントの処理能力を向上する。
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